＜11月23日、24日　神奈川・横浜みなとみらいホール、東京・サントリーホール＞　今回ご紹介するのは日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会。プログラムはリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲とグラズノフのヴァイオリン協奏曲で、指揮はピエタリ・インキネン、協奏曲のヴァイオリン独奏は神尾真由子というゴールデン・コンビによるコンサートである。
　アルプス交響曲は作曲者が10代なかばのときにドイツ最高峰の山、ツークシュピッツェ山に登った時の経験が原体験となり、作曲家として円熟期を迎えた50代になって作曲されたものである。登山をめぐるさまざまな情景がみごとに描き出されていて、インキネンはこの作品についてこのように語っている。「オーケストレーションの真の傑作であり、言葉を使わずに物語を語る、演奏するにも聴くにも最も爽快な曲のひとつです」
　インキネン自身がスイス・アルプス山麓のツェルマットに自宅を持ち、アルプスで過ごすことも多いのだとか。インキネンはもともとヴァイオリニストであった。今回ソリストを務める神尾真由子はともに名教師ザハール・ブロンの元で薫陶を受けた兄弟弟子でもある。さらにインキネンは昨年まで日本フィルにて首席指揮者を務めており、お互いを知り尽くした熟練のアンサンブルに期待が高まる。
　紡ぎだされるアルプスの情景とグラズノフのヴァイオリン協奏曲をぜひご堪能いただきたい。

＜文・尾崎羽奈＞

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