＜9月5日〜　東京・新国立劇場　ほか＞　東京二期会2024-2025シーズンの開幕は、モーツァルトの歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》だ。2組の男女が相手の貞節を試す／試されるという物語であり、フィオルディリージ、ドラベッラの姉妹が、困惑しながらも自身の気持ちに正直になっていくさまは痛快だ。軽やかな音楽にのせて人間の深みを観察できるこのオペラは、東京・三重・岡山で楽しめる。東京二期会の新シーズン幕開けに、大人気のこのオペラの鑑賞に出かけたい。
　なんと2024年は、3月の小澤征爾音楽塾をはじめ、舞台を現代のキャンプ場にした「キャンピング・コジ」で話題となった6月の新国立劇場と、《コジ・ファン・トゥッテ》の上演が続いている。東京二期会は2024-2025シーズンテーマを「名作を新しいフェーズに」とし、上演するラインナップ全てが新制作で届けられる。《コジ・ファン・トゥッテ》は、クリスティアン・アルミンク指揮、そして2021年に東京二期会と《ファルスタッフ》でタッグを組んだロラン・ペリーの演出で上演される。音楽は重唱が多く、美しいハーモニーや軽快な掛け合いが、多彩な歌手陣によって歌われるのも魅力である。
　さまざまな《コジ・ファン・トゥッテ》が上演される2024年ならではの、熱気あふれるプロダクションが期待される。ぜひこの機会に鑑賞したい。

＜文・山下実紗＞