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東京・春・音楽祭2024

●このコンサートは終了しました

東京・春・音楽祭2024
<3月15日~4月21日 東京文化会館 ほか> 桜前線が東京に到達するころから、上野の森は春の到来を祝う響きに満たされる。東京の春の風物詩として定着した「東京・春・音楽祭」。2005年の初開催以来、たくさんの音を紡いできたこの音楽祭は、演奏家と聴衆が、日常にない感動を共有できる空間の創造を目指し、「強い意志を持って、続けること」という思いとともに歩み続けてきた。20周年を迎える今年も、オペラ、オーケストラ、室内楽、合唱、声楽、ピアノなどなど、多種多様なプログラムで東京の春を盛り上げていく。

 ここからは、要注目の公演をいくつかピックアップしてご紹介したい。
ミュージアム・コンサート「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展 記念コンサート vol.1 小倉貴久子(フォルテピアノ)
3月16日(土)/東京都美術館 講堂


 上野は博物館と美術館、すなわち「ミュージアム」の街! 都内でも、ひとつのエリアにこれほどミュージアムが密集しているところはほかにない。上野で開催される音楽祭ならではの取り組みが、このミュージアムを舞台にしたコンサートだ。
 いくつか開催される「ミュージアム・コンサート」から、東京都美術館とのコラボレーション企画の第1回をご紹介する。
 本公演は、ドビュッシーの《ベルガマスク組曲》より抜粋や《版画》の全曲演奏、ラヴェルの《亡き王女のためのパヴァーヌ》など、19世紀末から第一次世界大戦勃発までの「ベル・エポック」時代の音楽を、小倉貴久子が奏でるエラール・ピアノの音色とともに振り返るコンサートだ。エラール・ピアノで聴くドビュッシーやラヴェルは新鮮に聴こえることだろう。
東京春祭 for Kids 子どものためのワーグナー《トリスタンとイゾルデ》(バイロイト音楽祭提携公演)
★3月23日(土)、24日(日)、28日(木)、30日(土)、31日(日)/三井住友銀行東館 ライジング・スクエア1階 アース・ガーデン


 子どもたちに音楽の、とりわけオペラの魅力をわかりやすく楽しく伝えているのが、東京・春・音楽祭の特徴だ。2024年はなんとあの《トリスタンとイゾルデ》を子ども向けにアレンジ。トリスタン役に伊藤達人、マルケ王役に山下浩司、イゾルデ役に田崎尚美、クルヴェナール役に青山貴、ブランゲーネ役に金子美香と、日本のオペラ界を牽引する実力派を結集した本公演は、子どもたちのオペラ鑑賞デビューのみならず、コアなオペラ・ファン、ワグネリアンも唸らせるものとなるだろう。なにしろあのバイロイト音楽祭との提携公演で、監修と演出はバイロイト音楽祭総監督カタリーナ・ワーグナー(※リヒャルト・ワーグナーの曾孫!)なのだ。
 もちろん、大人のみでの来場もOK。ただし残席に余裕がある場合に限り、3月13日(水)10:00から1名7,000円にて受付するそうなので、情報をチェックしておこう。
ディオティマ弦楽四重奏団 シェーンベルク 弦楽四重奏曲 全曲演奏会 生誕150年に寄せて
★4月6日(土)/東京藝術大学奏楽堂(大学構内)


 2024年にメモリアル・イヤーを迎える作曲家のひとりが、無調音楽と十二音音楽の扉を開いたアルノルト・シェーンベルク。ディオティマ弦楽四重奏団が東京藝術大学構内の奏楽堂(旧東京音楽学校奏楽堂とお間違えなきよう!)で挑むのは、シェーンベルクの弦楽四重奏曲全曲演奏会だ。
 1897年に書かれた弦楽四重奏曲ニ長調は、その快活さとリズムの明快さで従来のシェーンベルクのイメージを覆すことだろう。弦楽四重奏曲第1番 ニ短調 Op.7は1905年に完成した作品で、リストのピアノ・ソナタロ短調以降さまざまな作曲家によって試みられてきた、「ソナタ形式」と「多楽章ソナタ」の融合を目指している。1908年に完成した弦楽四重奏曲第2番 嬰ヘ短調 Op.10は、第3楽章と第4楽章にソプラノ独唱を含んでいることや、全体としては調性音楽でありながら、第4楽章が無調で書かれている点において革新的な作品。そして約20年の時を経て1927年に完成した弦楽四重奏曲第3番 Op.30では、自らが確立した十二音技法が惜しみなく用いられ、アメリカ亡命後の1936年に書かれた弦楽四重奏曲第4番 Op.37では、その十二音技法からも解き放たれようとする新たな傾向を見せている。
 月夜の男女の語らいを描いたリヒャルト・デーメルの同名の詩に基づく標題音楽《浄められた夜》Op.4は、1899年に書かれたヴァイオリン2名、ヴィオラ2名、チェロ、コントラバスという編成の弦楽六重奏曲であり、拡大された調性と巧みな楽器法によって描かれる幻想的な世界は聴くものを惹きつけてやまない。
東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.11 ブルックナー《ミサ曲第3番》 生誕200年に寄せて
★4月13日(土)/東京文化会館 大ホール


 2024年に生誕200年を迎えるアントン・ブルックナー。ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの歴史上初めて、彼の作品《カドリーユ》の管弦楽編曲版が演奏されたこともクラシック・ファンの記憶に新しい。
 《ミサ曲第3番》は、交響曲にも匹敵する充実したオーケストラの響き、親しみやすい旋律、そして開始こそヘ短調であるものの、全体に明るく祝祭的な雰囲気を持っていることを含めて、ブルックナー・ファンだけでなく「ブルックナーは敷居が高くて……」とお思いの方にこそ聴いていただきたい作品だ。オペラ指揮者として幅広いレパートリーをもつ指揮者のローター・ケーニヒスが、ブルックナーの傑作をどう料理するかも注目したい。ブルックナーが敬愛してやまなかった作曲家、ワーグナーの《ジークフリート牧歌》との組合せも、まさにプログラムの妙味。
《アイーダ》(演奏会形式/字幕付)
★4月17日(水)、20日(土)/東京文化会館 大ホール


 東京・春・音楽祭では、本稿で紹介したワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》に加えて、プッチーニの《ラ・ボエーム》、さらにはリヒャルト・シュトラウスの《エレクトラ》も上演される。どの公演に焦点を当てるか、筆者としても大いに悩むところではあったが、ここは「祝祭」というイメージと重ねて、ヴェルディの《アイーダ》をご紹介したい。
 1871年、エジプトのカイロで初演されて以来、第1幕のラダメスのロマンツァ〈清きアイーダ〉やアイーダのシェーナとアリア〈勝ちて帰れ〉、そして第2幕の〈凱旋行進曲〉などが人気を博し、イタリア・オペラの歴史に燦然と輝く作品となっている。
  エジプト王女に仕える女奴隷にして実はエチオピア王女のアイーダ役にはマリア・ホセ・シーリを、エジプトの若き将軍ラダメス役にはルチアーノ・ガンチを、そしてエジプト王女アムネリス役にはユリア・マトーチュキナを配した本公演のタクトを執るのは、イタリア・オペラ界の、いやクラシック界の「帝王」リッカルド・ムーティ。まさにオペラ・ファンのために組まれたと言っても過言ではないオールスター・チームで《アイーダ》を聴ける唯一無二の機会となろう。
 本稿で紹介した公演のほかにも、ルドルフ・ブッフビンダーによる「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会」をはじめ、魅力的なプロジェクトが目白押しの東京・春・音楽祭。
 冬から春へ、そして初夏へと向かうひとときを、上野の杜で音楽にひたって過ごしてみてはいかがだろうか。きっと、あなたにぴったりの音楽との出会いがあるはずだ。
 さらに今回、なんとほぼ全公演が税込1,200円(公式プログラムがお手元に届くプランは税込2,270円)でライブ配信される。全公演聴きたいけれどこの日は直後に予定が……という方、上野はちょっと遠いなぁという方、ぜひライブ配信で東京・春・音楽祭を楽しんでほしい。

<文・加藤新平>

ミュージアム・コンサート 「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展 記念コンサート vol.1 小倉貴久子(フォルテピアノ)

日時 3月16日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場 東京都美術館 講堂
出演 [フォルテピアノ]小倉貴久子
プログラム 【エラール・ピアノで描くベル・エポックの音楽】
ドビュッシー:《ベルガマスク組曲》より〈プレリュード〉〈月の光〉、《版画》より〈塔〉〈グラナダの夕ぐれ〉〈雨の庭〉、喜びの島
C.シャミナード:スカーフの踊り Op.37-3
ビゼー:《アルルの女》より〈序曲〉〈メヌエット〉
シャブリエ:《絵画的小品集》より〈風景〉
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
チケット 全席自由:2,500円
詳細 こちらから
お問い合わせ 東京・春・音楽祭サポートデスク
TEL:050-3496-0202
(月水金10:00~15:00 ※音楽祭開催期間中は土日祝含む全日営業10:00~19:00)

東京春祭 for Kids 子どものためのワーグナー《トリスタンとイゾルデ》(バイロイト音楽祭提携公演)

日時 3月23日(土) 14:00開演(13:30開場)
3月24日(日) 14:00開演(13:30開場)
3月28日(木) 19:00開演(18:30開場)
3月30日(土) 14:00開演(13:30開場)
3月31日(日) 14:00開演(13:30開場)
会場 三井住友銀行 東館 ライジング・スクエア1階 アース・ガーデン
出演 [指揮]石坂宏
[トリスタン(テノール)]伊藤達人
[マルケ王(バス)]山下浩司
[イゾルデ(ソプラノ)]田崎尚美
[クルヴェナール(バリトン)]青山貴
[ブランゲーネ(メゾ・ソプラノ)]金子美香
ほか

[管弦楽]東京春祭オーケストラ

[監修/再演 演出]カタリーナ・ワーグナー(芸術監督)
プログラム リヒャルト・ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》(抜粋)
〈台詞部分は日本語、歌唱部分はドイツ語での上演〉
※上演時間:各回約70分
チケット 全席自由(ファミリーチケット):子ども3,000円 保護者4,000円
※大人のみでの来場希望は、残席に余裕がある場合に限り3月13日(水)10:00から1名7,000円にて受付
詳細 こちらから
お問い合わせ 東京・春・音楽祭サポートデスク
TEL:050-3496-0202
(月水金10:00~15:00 ※音楽祭開催期間中は土日祝含む全日営業10:00~19:00)

ディオティマ弦楽四重奏団 シェーンベルク 弦楽四重奏曲 全曲演奏会 生誕150年に寄せて

日時 4月6日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場 東京藝術大学奏楽堂(大学構内)
出演 【ディオティマ弦楽四重奏団】
[ヴァイオリン]ユン・ペン・ジャオ、レオ・マリリエ
[ヴィオラ]フランク・シュヴァリエ
[チェロ]アレクシス・デシャルム

[ヴィオラ]安達真理
[チェロ]中実穂
[ソプラノ]レネケ・ルイテン
プログラム 【オール・シェーンベルク・プログラム】
弦楽四重奏曲 ニ長調、弦楽四重奏曲 第3番 Op.30、弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調 Op.7、弦楽四重奏曲 第2番 嬰ヘ短調 Op.10(ソプラノと弦楽四重奏版)、弦楽四重奏曲 第4番 Op.37、《浄められた夜》Op.4
ほか
※公演時間:約6時間(休憩3回含む)
チケット 全席指定:7,500円 U-25席2,000円
※U-25席は2月15日[木]12:00~発売
詳細 こちらから
お問い合わせ 東京・春・音楽祭サポートデスク
TEL:050-3496-0202
(月水金10:00~15:00 ※音楽祭開催期間中は土日祝含む全日営業10:00~19:00)

東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.11 ブルックナー《ミサ曲第3番》 生誕200年に寄せて

日時 4月13日(土) 14:00開演(13:00開場)
会場 東京文化会館 大ホール
出演 [指揮]ローター・ケーニヒス
[ソプラノ]ハンナ=エリーザベト・ミュラー
[メゾ・ソプラノ]オッカ・フォン・デア・ダメラウ
[テノール]ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー
[バス]アイン・アンガー

[管弦楽]東京都交響楽団
[合唱]東京オペラシンガーズ
[合唱指揮]エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
プログラム ワーグナー:ジークフリート牧歌
ブルックナー:ミサ曲 第3番 ヘ短調 WAB28
チケット 全席指定:S席17,000円 A席14,500円 B席12,500円 C席10,500円 D席8,500円 E席6,500円 U-25席3,000円
※U-25席は2月15日[木]12:00~発売
詳細 こちらから
お問い合わせ 東京・春・音楽祭サポートデスク
TEL:050-3496-0202
(月水金10:00~15:00 ※音楽祭開催期間中は土日祝含む全日営業10:00~19:00)

《アイーダ》(演奏会形式/字幕付)

日時 4月17日(水)、20日(土) 14:00開演(13:00開場)
会場 東京文化会館 大ホール
出演 [指揮]リッカルド・ムーティ
[アイーダ(ソプラノ)]マリア・ホセ・シーリ
[ラダメス(テノール)]ルチアーノ・ガンチ
[アモナズロ(バリトン)]セルバン・ヴァシレ
[アムネリス(メゾ・ソプラノ)]ユリア・マトーチュキナ
[ランフィス(バス)]ヴィットリオ・デ・カンポ
[伝令(テノール)]石井基幾
[巫女(ソプラノ)]中畑有美子
ほか

[管弦楽]東京春祭オーケストラ
[合唱]東京オペラシンガーズ
[合唱指揮]仲田淳也
プログラム ジュゼッペ・ヴェルディ:歌劇《アイーダ》
全4幕〈イタリア語上演・演奏会形式/字幕付〉
※上演時間:約3時間50分(休憩2回含む)
チケット 全席指定:S席29,500円 A席26,000円 B席22,000円 C席18,000円 D席14,000円 E席9,000円 U-25席3,000円
※U-25席は2月15日[木]12:00~発売
詳細 こちらから
お問い合わせ 東京・春・音楽祭サポートデスク
TEL:050-3496-0202
(月水金10:00~15:00 ※音楽祭開催期間中は土日祝含む全日営業10:00~19:00)
配信 東京・春・音楽祭 2024 ライブ・ストリーミング
詳細 こちらから
※2月23日(金・祝)~発売

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