＜2月9日　神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホール＞　タンゴの革命児アストル・ピアソラを愛してやまない若手実力派トリオが、注目度の高いドラマーをゲストに迎えて、情熱と哀愁あふれる一夜を繰り広げる。
　バンドネオン奏者の三浦一馬は、10歳から小松亮太のもとでバンドネオンをはじめ、2006年に別府アルゲリッチ音楽祭でバンドネオンの世界的奏者ネストル・マルコーニと出会ったことをきっかけに、現在まで師事している。2008年10月、イタリアで開催された第33回アストル・ピアソラ国際コンクールで日本人初・史上最年少で準優勝を果たすなど実力は高く評価され、恩師から譲り受けた銘器Alfred Arnoldで、ピアソラの音楽と精神性を現代につなぐ思いでさまざまな編成で活動している。
　はじめて登場するミューザ川崎では、サクソフォンの上野耕平、ピアノの山中惇史とのトリオに、日本でもっとも売れているドラマーにして、世界中のミュージシャンから指名を受ける石若駿をゲストに迎える。抜きんでたテクニックと音楽性で進化が止まらないトリオと、ジャンルを飛び越え縦横無尽に活躍する石若によるピアソラ《フーガと神秘》《ブエノスアイレスの冬》《レオノーラの愛のテーマ》では、情熱と哀愁、色気、危うさをまとう愛の世界を深く表現してくれることだろう。そして、ラヴェル《ボレロ》だ。4人によるセッションがどんな世界を示してくれるのか！？
　大切な誰かを思う日、ヴァレンタインデイを目前にしたスペシャルな一夜。愛あふれる音の渦に全身で浸ってみてほしい。

＜文・小畑智恵＞