＜12月1日　東京・紀尾井ホール ＞　世界各国のストリートピアノで華麗なテクニックを披露し、抜群のアレンジセンスに彩られた演奏で聴衆を魅了する菊池亮太。YouTubeのチャンネル登録者数は増え続けて10月現在で約61万人。ポピュラーな人気を獲得する一方で、第５回ブルクハルト国際音楽コンクールピアノ部門では1位該当者なしの第3位、2008年アジア国際音楽コンクールでは第5位など数々の受賞歴を持ち、正統派クラシックの世界でも高い評価を得ている。
　まさに地球規模で活躍する菊池だけに、今回のリサイタルのタイトルは《I’ll be back～凱旋記念公演〜》。プログラムが気になるところだが、演目は発表されていない。毎回、弾く曲は当日に決めるという。高座に上がってから噺を決める寄席の落語家のように、会場と客席の雰囲気に合わせて曲を選ぶのだろう。いかにもストリートで腕を磨いた菊池らしい。
　アニメソングからジャズ、ポップスのスタンダードナンバー、そしてクラシックまで幅広いレパートリーからどんな曲を聴かせてくれるのだろう？ タイトルにちなんで、映画『ターミネーター』のテーマ曲を、ぶっ飛んだアレンジで……？ などと想像がふくらむ。ストリートの臨場感を、名門・紀尾井ホールの響きで味わうという、贅沢な体験ができそうだ。

＜文・小出和明＞