番組でも紹介があったように、ベートーベンは〈オールド・ラング・サイン〉(《12のスコットランドの歌》より)を編曲していますが、他にも150を超える多くのイギリス・アイルランド民謡の編曲同時期に手掛けています。その中には有名なアイルランド民謡〈夏の名残のばら〉(《20のアイルランドの歌》より)もあります。これらの仕事は、これは、イギリスの出版者がベートーベンに依頼したものですが、ベートーベンはこれを単なる“編曲の仕事”として終わらせず、自分の作品に取り入れました。
その代表例が《交響曲第7番》。その狂喜乱舞の第4楽章は、どこかアイリッシュな雰囲気を感じませんか?この曲の第1主題の原型となったのは、アイルランドの古い民謡〈ノラ・クレイナ〉だと言われています。ベートーベンはその古い民謡を〈Save Me from the Grave and Wise〉(《12のアイルランドの歌》より)として編曲しています。その編曲作品を聴いてみると、〈ノラ・クレイナ〉の歌の旋律というよりは、その間奏部分がそのまま《交響曲第7番》に使われている、といったところです。