＜3月7日　新潟・五泉市さくらんど会館＞　新潟市の中心部から、車・電車で約1時間のところにある五泉市。ぼたん栽培が盛んであり、全国有数の生産量を誇る地だ。この街の文化の中心を担うのが、1992年に開館した「さくらんど会館」である。当ホールには、世界3大ピアノのひとつであるベーゼンドルファー・インペリアルモデルが所蔵されていることも特徴のひとつに挙げられる。このピアノは一般的なピアノよりも低音部が9鍵多いことで知られており、色彩豊かな力強い音色が特徴的だ。
　そのベーゼンドルファーを活用して展開されているのが、今回紹介するコンサート・シリーズ。近年では魅力的な若手ピアニストの公演が続いている。一昨年には務川慧悟、昨年は實川風、そして今年は作編曲家でありピアニストでもある、山中惇史が登場する。ベーゼンドルファーのピアノを好んで弾いたバックハウス編曲のショパンなど、ピアノのポテンシャルを充分に活かしたプログラミングも楽しみだ。
　公演は昼と夜の2公演。地域に根付くホールの取り組みから、目が離せない。

＜文・鈴木智之＞