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ちょっとお昼にクラシック  大西宇宙(バリトン)

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ちょっとお昼にクラシック  大西宇宙(バリトン)
<7月28日 茨城・水戸芸術館> 躍進を続ける音楽家の、生の舞台に触れることができる機会は貴重だ。今回初めて水戸芸術館に登場する大西宇宙は、同館の第2代館長・小澤征爾が総監督を務めるセイジ・オザワ松本フェスティバルで、日本の音楽シーンにその名を轟かせたという縁があるだけに、水戸との新たな縁の始まりも楽しみだ。
 豊潤な美声と豊かな表現力で、いま日本でもっとも人気のあるバリトンのひとりと言われる大西は、ニューヨークの名門ジュリアード音楽院で、日本人として数少ない声楽専攻生として修了。2015年からはアメリカ3大歌劇場のひとつ、シカゴ・リリック・オペラの所属歌手として称賛を浴びてきた。日本に活動の場を移す転機となったのは、2019年夏、セイジ・オザワ松本フェスティバルで上演されたチャイコフスキーの歌劇《エフゲニー・オネーギン》。主役歌手が怪我でキャンセル、さらに来日した代役の歌手も体調不良で降板し、カヴァーキャストとして控えていた大西が急遽主役を歌うという劇的な場面。しかも初めての日本でのオペラ全幕という大役をみごとな歌唱で歌い切り、観客を魅了したのだ。その活躍と芸術性の高さは、今年2024年2月の芸術選奨文部科学大臣新人賞とホテルオークラ音楽賞受賞の受賞が示しており、アメリカのミネソタ・オペラとダラス・オペラに主役級でのデビューも発表されている。
 今回のプログラムは、劇的な日本デビューを飾った《エフゲニー・オネーギン》のロシア語のアリアを含む。さらにフランス語のラヴェル、ドイツ語のシューベルト、イタリア語のヴェルディ作品を並べることができるのは、ジュリアードで多様な言語の歌唱を磨いてきたからこそ。その大西の歌声を支えるのは、繊細にして表現豊かなピアノの音色で、日本を代表する歌手たちから大きな信頼を得る声楽伴奏のスペシャリスト、河原忠之。
 豊穰なバリトンとピアノに導かれて“世界”を旅すれば、すてきな日曜の昼下がりを堪能できることだろう。

<文・小畑智恵>​
公演名 ちょっとお昼にクラシック  大西宇宙(バリトン)
日時 7月28日(日) 13:30開演(13:00開場)
会場 水戸芸術館 コンサートホールATM
出演 [バリトン]大西宇宙
[ピアノ]河原忠之
プログラム ラヴェル:《ドゥルシネア姫に想いを寄せるドン・キホーテ》より第1曲〈空想的な歌〉、第2曲〈英雄的な歌(叙事詩風の歌)〉、第3曲〈酒の歌〉
シューベルト:ミューズの子、月に寄せて、魔王
コルンゴルト:歌劇《死の都》より〈ピエロの歌〉
ヴェルディ:歌劇《トロヴァトーレ》より〈君の微笑み〉
チャイコフスキー:歌劇《エフゲニー・オネーギン》より〈あれが本当にタチアーナなのか〉
チケット 全席指定:1,500円
お問い合わせ 水戸芸術館 チケット予約センター
TEL:029-231-8000(月曜をのぞく9:30~18:00)

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