＜11月19日　岩手・北上市文化交流センターさくらホール＞　多くの人にとって、幼少期に読書への入り口となってくれたのは「絵本」だったことだろう。ズーラシアンブラスは、クラシック音楽における「絵本」の役割を果たすことを目的に生まれた金管五重奏団だ。弦楽器とピアノによる「弦うさぎ」、クラリネットの「クラリキャット」、フルートの「ことふえパピヨン」など、さまざまないきもののなかまたちとともに結成されたチェンバーオーケストラが、この秋、岩手県北上市にやってくる。
　モーツァルトの《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》や、ミュージカル《マイ・フェア・レディ》より〈踊り明かそう〉などのよく知られた名曲から、《迷子の子猫クラリネット踏んじゃった》など、ちょっとクスっとさせられるタイトルのおもしろい曲まで、多彩なプログラムを楽しめる本公演は、「親子でたのしめる室内楽」をテーマに掲げている。
　「みんなーと！ おたがいさまLIVE」と銘打ち、ステージ前にフラットなのびのび席を用意しているほか、ホール内は車いすも段差なく通行可能。声を出しても、じっとしていなくても大丈夫。みんなが、自由に、おたがいさまの心で楽しく鑑賞できるコンサートだ。
　お子さまのコンサート・デビューにも最適の公演であること間違いなし。児童劇でもキャラクター・ショーでもない、かわいらしくておもしろいコンサートは必聴・必見だ。

＜文・住吉亜蘭＞