＜8月1日　北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru＞　国内の主要オーケストラのポストを歴任し、活躍する指揮者・下野竜也。札幌交響楽団との初共演は約四半世紀前である。そんな下野がこの春、満を持して札響の首席客演指揮者に就任した。今回の演奏会はそんな下野×札響の新たなスタートのお披露目である。
　このおめでたい演奏会で取り上げる曲目は2曲。早坂文雄の《二つの讃歌への前奏曲》と、スメタナの連作交響詩《わが祖国》だ。早坂はクラシック初心者にはあまり知られていない作曲家かと思うが、1914年に生まれ、41歳という若さで亡くなるまでの間に、管弦楽曲作品のみならず、ピアノや曲や室内楽曲などの作品を残している。なかでも有名な作品は、映画音楽の分野ではないだろうか。黒澤明作品の「羅生門」や「七人の侍」などの音楽は、彼の残した作品だ。
　今回演奏される《二つの讃歌への前奏曲》は、1935年に作曲された全2楽章で10分程度の作品である。スメタナの《我が祖国》は、6つの交響詩からなる作品で、70分を超える大作。第2曲の〈ヴルタヴァ（モルダウ）〉は、学生時代に音楽の授業で鑑賞したり、合唱曲版を歌ったことがある人も多いのではないだろうか。
　夏の北の大地で奏でられる、下野×札響の上質な音楽。この夏、新たな門出を応援すべく、ぜひ会場でお楽しみいただきたい。

＜文・鈴木智之＞