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<12月11日 東京文化会館>熟練のピアニスト舘野泉は、2022年11月に満86歳を迎えた。すなわち、彼が南仏の作曲家セヴラックに魅せられてからすでに70年ほどの月日が流れたことになる。
デオダ・ドゥ・セヴラックは、ドビュッシーやラヴェルと同じ世代の作曲家であり、舘野は日本セヴラック協会の顧問としてこの作曲家の音楽を広めている。この日、舘野が届けるのは、1901年に作曲されたピアノ小品集《大地の歌:七つの農事詩》である。光永浩一郎の編曲を経た新しい《大地の歌》を、舘野の左手が奏でる。自然と耳に溶け込むセヴラックの世界を堪能してもらいたい。
平野一郎は、日本の伝説や歴史から取材する作品を得意とする作曲家であり、世代は離れているものの舘野とはお互いを認め合っているのだろう。既に共演の経験があり、この日演奏される《鬼の学校》(2022年)もまた、舘野が平野に委嘱した作品である。シューベルトの《鱒》と同じ編成、つまりピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスによって描き出される「学校」とはどのようなものだろうか。新曲に期待をせずにはいられない。
円熟のピアニストが、心から愛した音楽によって優然とした時間を届けるだろう。
<文・小島広之>
公演名 | 舘野泉 バースデー・コンサート2022 ~またひとつ夢を叶える日~ |
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日時 | 12月11日(日) 14:00開演(13:15開場) |
会場 | 東京文化会館 小ホール |
出演 | [ピアノ]舘野泉 [ヴァイオリン]ヤンネ舘野 [ヴィオラ]安達真理 [チェロ]矢口里菜子 [コントラバス]長谷川順子 |
プログラム | デオダ・ドゥ・セヴラック(光永浩一郎 編):大地の歌~七つの農事詩 〈序奏(大地の魂)〉〈耕作〉〈種蒔き〉〈間奏曲(夜のおとぎ話)〉〈雹〉〈刈り入れ時〉〈終曲(婚礼の日)〉 平野一郎:鬼の学校 左手のピアノと弦楽の為の教育的五重奏(委嘱作・初演) 〈基礎科目〉〈教養科目〉〈実践科目〉〈生存科目〉〈運動〉〈給食〉〈転寝〉〈掃除〉〈放課後の鬼生訓〉 ほか ※「舘野泉左手の文庫」助成作品 |
チケット | 全席指定:6,000円 |
お問い合わせ | ジャパン・アーツぴあ TEL:0570-00-1212 |