＜11月3日　熊本県立劇場ほか＞2020年春から猛威を振るった新型コロナウイルスとパンデミックに伴う自粛の嵐。さまざまな職種が緊急を要しないとして自粛に追い込まれた。音楽もその一つとなり、イベント自粛が相次いだ。文化はその歩みを止めれば急速に衰える、というのは音楽をなりわいにしている人間には普段から真髄に染み込んでいる感覚だろうと思う。楽器演奏の技術は「1日弾かなければ3日戻る」のだ。 　今年のNHK音楽祭はやや毛色が違う。「〜未来へ〜」と題され、この1年半幾多の困難を乗り越え音楽への情熱を糧に運営してきた各地のオーケストラと、未来を担っていく若きピアニストたちが競演する。「日本列島を未来の希望でつなぐ」というコンセプトのもと全国で5公演が行われ、ここでは11月に開催の3公演を紹介する。 　プログラムにはいずれもピアノ協奏曲が選ばれており、ハンガリーにルーツを持ちこれからの活躍がさらに楽しみな金子三勇士はリストの第1番、今年のショパンコンクールの覇者によるショパンの協奏曲（すでに完売）、6歳からロシアで学び国内外で華々しく活躍する松田華音によるシチェドリンの協奏曲とどれも目の離せない魅力的なプログラムが目白押しである。 ＜文・尾崎羽奈＞

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