<7月21日~8月11日 鹿児島・みやまコンセール ほか> 「教える側と教わる側が影響し合って成⻑する」「技術的、⼈間的に⾃⽴した⾳楽家を養成する」を理念に掲げる霧島国際音楽祭は、1980年より開催されている、日本でもっとも歴史のある音楽祭だ。毎年、夏になると世界各地から著名な音楽家が霧島の地に集い、マスタークラス受講生も交えて2週間にわたる音楽の祭典を繰り広げる。音楽監督を務めるのは、日本を代表するチェリスト、堤剛。演奏家として、指導者として今年も霧島国際音楽祭を牽引する。
霧島国際音楽祭の特徴は、開催期間中のコンサートの多さだ。1994年にこの音楽祭のために建設され、国際音響学会で「奇跡のホール」と称えられた霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)をメイン会場としつつ、鹿児島県民文化センター(宝山ホール)、霧島神宮、教会、さらには足湯や酒蔵まで、霧島と鹿児島市を中心に県内各地が音楽に染まる。
世界各地から集まった一流の演奏家たちが若手を指導する「マスタークラス」も、霧島国際音楽祭のもうひとつの特徴だ。今年は音楽監督の堤剛をはじめ、エリソ・ヴィルサラーゼ(ピアノ)、セルゲイ・クリーロフ(ヴァイオリン)、上野聖矢(フルート)らが講師を務める。アジアをはじめ国内外から約160名が参加するマスタークラスは、実践的な学びの場として受講生にとっても貴重な機会であり、ここで学んだ受講生が世界で活躍して、今度は演奏家として「霧島に戻ってくる」という伝統が根付いている。
今年は38公演が開催される霧島国際音楽祭。ここからは「ららら♪クラブ」読者のみなさまに、おススメのコンサートをピックアップしてご紹介しよう。
7月22日(土)は、「宝山ホールまつり」と題して、NHK Eテレ「ピタゴラスイッチ」でおなじみの栗コーダーカルテットによる
「夏休みコンサート」と、村治佳織(ギター)、牛田智大(ピアノ)による
「ダブル・リサイタル」が開催される。栗コーダーカルテットが披露するのは、皆さまにもおなじみの小組曲《ピタゴラスイッチ》からベートーヴェンの交響曲第5番《運命》まで、幅広いプログラム。牛田智大の奏でるブラームスのピアノ・ソナタ第3番ヘ短調をはじめとするロマン派のピアノ作品や、村治佳織が披露するタレガ《アルハンブラの思い出》やヴィラ=ロボス《カデンツァ、ショーロスNo.1》も楽しみだ。
みなさまお待ちかね、霧島のみやまコンセールでの
「オープニング・コンサート」は、7月23日(日)開催。音楽監督のチェリスト堤剛、世界各国で著名な指揮者・オーケストラと数多く共演し、度々再演の指名も受けているピアニストの河村尚子、そして前回(第43回)の霧島国際音楽祭で「音楽監督賞」を受賞したレグルス・クァルテットが登場する。ハイドンの弦楽四重奏曲第80番(レグルス・クァルテット)、シューベルトの《4つの即興曲》D935より第2曲、第3曲(河村尚子)、そして堤と河村の共演によるベートーヴェンのチェロ・ソナタ第4番、マルティヌーの《ロッシーニの主題による変奏曲》と、古典派から近現代まで、幅広い時代の室内楽作品を楽しめる。
霧島国際音楽祭の魅力のひとつが「地域密着」だ。7月27日(木)に霧島市民会館で開催される
「管の祭典」は、第77回日本音楽コンクール第2位、コンクール全部門の中から最も印象的な演奏に贈られる「増沢賞」を、女性の金管楽器奏者として初めて獲得した、名古屋フィルハーモニー交響楽団 首席ホルン奏者の安土真弓と、第8回ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクールの覇者にして、ミュンヘンとパリを拠点に国際的に活躍するフルート奏者の上野聖矢がピアノ伴奏で独奏を披露するほか、霧島市内の高校生による合同吹奏楽団と《銀河鉄道999》などを共演する。聴衆にとっても、出演する高校生にとってもまさに唯一無二の体験となるだろう。
7月29日(土)は、現代音楽ファンにとってたまらない1日。みやまコンセールで「音楽の散歩②」と銘打ち開催される
「音楽祭名物! チェロ・オーケストラ」では、堤剛、イ・カンホをはじめとするチェリストたちと、チェロクラス受講生との共演により、ヨハン・シュトラウス二世の《こうもり》より〈序曲〉や、ブルッフ《コル・ニドライ》などの名曲を披露するとともに、堤剛の独奏で、世界的に活躍する日本人作曲家、藤倉大の《tsutsumu》が演奏される。
藤倉と、鹿児島堀口製茶代表取締役社長を務める堀口大輔とのトークセッションをはさんで、
「鹿児島堀口製茶/和香園presents バッハ・コレギウム・ジャパン グリーンティー・コンチェルト」と題したコンサートでは、世界が注目するバッハ演奏団体、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が、鈴木優人の指揮のもと、J.S.バッハの《ブランデンブルク協奏曲第5番》《コーヒー・カンタータ》、そして霧島国際音楽祭共同委嘱作品である藤倉大の新作《グリーンティー・コンチェルト》を世界初演する。鹿児島でお茶の栽培をしていた祖父母の思い出のために藤倉が書き上げた新作は、きっと香り豊かなお茶のように、聴き手の心を満たしてくれることだろう。
7月30日(日)にみやまコンセールで開催される、
「エリソ・ヴィルサラーゼが贈る 名曲シューベルト『ます』」も必聴の公演だ。ピアニストとして、そして教育者として世界的に活躍する名手エリソ・ヴィルサラーゼが、第37回霧島国際音楽祭音楽監督賞、ミュンヘン国際⾳楽コンクール弦楽四重奏部⾨第3位⼊賞の実績をもつ「カルテット・アマービレ」と共演する。モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番、シューマンのピアノ五重奏曲、そしてシューベルトのピアノ五重奏曲《ます》を披露する本公演は、1曲ごとに編成が移り変わることが特徴だ。室内楽ならではの、編成ごとのサウンドの違いを楽しめることだろう。
8月に入ると、各クラスの受講生による「スチューデント・コンサート」がスタートする。
8月公演から、まずは8月2日(水)、宝山ホールで開催の
「キリシマ祝祭管弦楽団」コンサートをピックアップ。ベルギー出身の若手指揮者で、2018年からフランス国立メス管弦楽団とローザンヌ・シンフォニエッタの音楽監督を務め、2022年からは韓国交響楽団の音楽監督・首席指揮者に就任したデイヴィッド・レイランドが、キリシマ祝祭管弦楽団と初共演。ビゼーの《カルメン組曲》、ヴァイオリンのセルゲイ・クリーロフとの共演によるサラサーテの《ツィゴイネルワイゼン》、そしてブラームスの交響曲第2番を披露する。
8月5日(土)は、みやまコンセールにて
「霧島国際音楽祭賞 受賞者ガラ・コンサート」が開催される。ヴァイオリン、チェロ、フルート、ピアノ、室内楽の各クラスから選ばれた受賞者による、ソロと室内楽のコンサートだ。昨年度の音楽監督賞受賞者のフルート奏者、小池優華もゲストとして出演する。
(文・加藤新平)
<宝山ホール祭り①>
「栗コーダーカルテット」の夏休みコンサート
日時 |
7月22日(土) 11:00開演(10:15開場) |
会場 |
宝山ホール |
出演 |
【栗コーダーカルテット】
[リコーダー、ピアニカ、アンデスほか]栗原正己
[リコーダー、パーカッション、サックス、ウクレレほか]川口義之
[リコーダー、テューバ、口琴ほか]関島岳郎
[ギター、ウクレレ、リコーダー]安宅浩二 |
プログラム |
小組曲《ピタゴラスイッチ》
ベートーヴェン:交響曲第5番 《運命》より
帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)
エンターテイナー
黄金虫
テルーの唄 ほか |
チケット |
全席指定:一般2,500円 高校生以下1,000円 |
詳細 |
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お問い合わせ |
公益財団法人ジェスク音楽文化振興会
TEL::03-3499-4530 |
<宝山ホール祭り②>
村治佳織(ギター)、牛田智大(ピアノ) ダブル・リサイタル
日時 |
7月22日(土) 16:00開演(15:15開場) |
会場 |
宝山ホール |
出演 |
[ギター]村治佳織
[ピアノ]牛田智大 |
プログラム |
【第1部 牛田智大】
シューベルト:アレグレット ハ短調 D 915
ブラームス:ピアノ・ソナタ 第3番へ短調 Op.5
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
【第2部 村治佳織】
ディアンス:タンゴ・アン・スカイ
J.レノン&P.マッカ一トニ一:ミッシェル、イエスタデイ
タレガ:アルハンブラの思い出
モリコ一ネ:ガブリエルのオ一ボエ
ヴィラ=ロボス:カデンツァ、ショ一ロスNo.1
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
ニーノ・ロータ:ロミオとジュリエット
村治佳織:エタ一ナル・ファンタジア
久石譲:人生のメリ一ゴランド |
チケット |
全席指定:一般5,500円 高校生以下4,000円 |
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TEL::03-3499-4530 |
オープニング・コンサート
日時 |
7月23日(日) 14:00開演(13:30開場) |
会場 |
みやまコンセール |
出演 |
[音楽監督・チェロ]堤剛
[ピアノ]河村尚子
[弦楽]レグルス・クァルテット(43回音楽監督賞受賞) |
プログラム |
ハイドン:弦楽四重奏曲 第80番
シューベルト:4つの即興曲 D935 より 第2曲、第3曲
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ 第4番
マルティヌー:ロッシーニの主題による変奏曲 |
チケット |
全席指定:一般4,000円 高校生以下2,500円 |
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TEL::03-3499-4530 |
霧島国際音楽祭in霧島市民会館 管の祭典
日時 |
7月27日(木) 19:00開演(18:00開場) |
会場 |
霧島市民会館 |
出演 |
[フルート]上野星矢
[ホルン]安土真弓
[ピアノ]内門卓也、小井土文哉
[吹奏楽]霧島市内高校生 合同吹奏楽 |
プログラム |
【ホルン・ソロ】
アメイジング・グレイス
映画「天空の城ラピュタ」より
【フルート・ソロ】
グノー:アヴェ・マリア
フォーレ:シチリアーノ
ボルヌ:カルメン幻想曲
【上野星矢・安土真弓と吹奏楽団の共演】
銀河鉄道999
プロローグ・ワン ほか |
チケット |
全席指定:一般2,000円 高校生以下1,000円 |
詳細 |
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公益財団法人ジェスク音楽文化振興会
TEL::03-3499-4530 |
<音楽の散歩②>
音楽祭名物! チェロ・オーケストラ
日時 |
7月29日(土) 12:30開演(12:00開場) |
会場 |
みやまコンセール |
出演 |
【霧島国際音楽祭チェロ・オーケストラ】
[チェロ]堤剛、イ・カンホ、菊地知也、上村文乃、 ホワン・ソジン、笹沼樹
[コントラバス]吉田秀
チェロクラス受講生 |
プログラム |
J.シュトラウスⅡ:喜歌劇《こうもり》より〈序曲〉
藤倉大:tsutsumu(つつむ) ※堤剛ソロ
ブルッフ:コル・ニドライ
グリーグ:ホルベルク組曲 |
チケット |
全席指定:一般2,000円 高校生以下1,000円 |
詳細 |
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TEL::03-3499-4530 |
鹿児島堀口製茶/和香園 presents
バッハ・コレギウム・ジャパン グリーンティー・コンチェルト
日時 |
7月29日(土) 15:30開演(15:00開場) |
会場 |
みやまコンセール |
出演 |
【バッハ・コレギウム・ジャパン】
[指揮・チェンバロ]鈴木優人
[フラウト・トラヴェルソ]鶴田洋子
[ソプラノ]松井亜希
[テノール]吉田志門
[バス]加藤宏隆 |
プログラム |
藤倉大:グリーンティー・コンチェルト(世界初演) ※霧島国際音楽祭共同委嘱作品
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第5番、コーヒー・カンタータ |
チケット |
全席指定:一般5,500円 高校生以下4,000円 |
詳細 |
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公益財団法人ジェスク音楽文化振興会
TEL::03-3499-4530 |
エリソ・ヴィルサラーゼが贈る 名曲シューベルト「ます」
日時 |
7月30日(日) 15:30開演(15:00開場) |
会場 |
みやまコンセール |
出演 |
[ピアノ]エリソ・ヴィルサラーゼ
【カルテット・アマービレ】
[ヴァイオリン]篠原悠那、北田千尋
[ヴィオラ]中恵菜
[チェロ]笹沼樹
[ヴィオラ]磯村和英
[コントラバス]吉田秀 |
プログラム |
モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番
シューマン:ピアノ五重奏曲
シューベルト:ピアノ五重奏曲 《ます》 |
チケット |
全席指定:一般5,500円 高校生以下3,500円 |
詳細 |
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公益財団法人ジェスク音楽文化振興会
TEL::03-3499-4530 |
キリシマ祝祭管弦楽団
日時 |
8月2日(水) 19:00開演(18:15開場) |
会場 |
宝山ホール |
出演 |
[管弦楽]キリシマ祝祭管弦楽団
[指揮]デイヴィッド・レイランド
[ヴァイオリン]セルゲイ・クリーロフ |
プログラム |
ビゼー:カルメン組曲
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
ブラームス:交響曲 第2番 |
チケット |
全席指定:S席6,500円 A席4,500円 |
詳細 |
こちらから |
お問い合わせ |
公益財団法人ジェスク音楽文化振興会
TEL::03-3499-4530 |
霧島国際音楽祭賞 受賞者ガラ・コンサート
日時 |
8月5日(土) 11:00開演(10:30開場) |
会場 |
みやまコンセール |
出演 |
[フルート]小池優華 ※昨年度音楽監督賞受賞者
各クラス・音楽祭賞受賞者 |
プログラム |
ヴァイオリン、チェロ、フルート、ピアノ、室内楽各クラスから選ばれた若い音楽家によるソロ・室内楽。曲目・出演者は音楽祭期間中に決定 |
チケット |
全席指定:一般2,000円 高校生以下1,000円 |
詳細 |
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公益財団法人ジェスク音楽文化振興会
TEL::03-3499-4530 |