＜10月5日　福岡・黒崎ひびしんホール＞　福岡県北九州市にある「黒崎ひびしんホール」は、2012年に開館。黒崎副都心「文化・交流拠点地区」の中心となる、ふたつのホールや練習場などを備えたこの地域の文化拠点だ。このホールでは、フル・コンサートグランドピアノを4台備え、その中でもSteinway & Sons を2台、しかもハンブルグ製とニューヨーク製をそれぞれ所有している。これら2台のピアノを使用して開催されているのが、今回ご紹介する「魅惑の2台ピアノシリーズ　第2弾」である。
　出演は、金子三勇士と實川風の今をときめくピアニストふたり。金子三勇士は、6歳で単身ハンガリーに渡り音楽の研鑽を積んだ、まさに天才。卓越した技術を持ち、情熱的な演奏と繊細な表現で注目を集めている。實川風は、2015年に難関ロン・ティボー国際コンクール ピアノ部門で3位を受賞。現在は東京藝術大学でも教鞭をとっており、演奏者・指導者としても幅広く活躍している。
　今回のコンサートはそんなふたりのソロとデュオの演奏がそれぞれお楽しみいただける。ソロ曲には両名の得意とする作品が演奏されるが、なかでも金子のリスト《ラ・カンパネラ》、實川のショパン《スケルツォ第3番》は個人的におススメだ。デュオもモーツァルトの《2台ピアノのためのソナタ》やドビュッシーの《ベルガマスク組曲》より〈月の光〉、ホルストの《惑星》より〈木星〉など聴きなじみのある、いわゆる名曲たちが並ぶ。
　ふだんクラシック音楽を聴かない方でも聴きやすいプログラムが並んでいるので、初心者にもおすすめの公演だ。第1弾の公演に引き続き、ぜひともチェックしてほしい。

＜文・鈴木智之＞