＜4月20日　和歌山県民文化会館大ホール＞　ジュリアード音楽院と同大学院で研鑽を積み、小澤征爾の指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめ国内外の著名オーケストラとの共演を重ねているピアニストの中野翔太は、クラシック音楽だけでなく、ジャズの世界でもその技術と実力が認められ高い評価を受けている。近年では神奈川県民ホールで上演されたフィリップ・グラスのオペラ《浜辺のアインシュタイン》に出演したほか、坂本龍一の指名によりピアノとオーケストラのための作品を演奏するなど、現代音楽界における活躍も目覚ましい。
　本公演では、テナーサックス奏者の二宮和弘とその門下生により結成された、世界的にも極めてめずらしいサックス八重奏団「サクサコール」との共演が実現。
　リストの《愛の夢》や坂本龍一の《戦場のメリークリスマス》といったピアノソロから、チック・コリアの《スペイン》や中野のオリジナル曲《Random Shapes Ⅱ》などのサックスとピアノの室内楽、そしてサックス八重奏によるピアソラ《ブエノスアイレスの四季》やエルガーの《威風堂々》、さらにはピアノとサックス八重奏によるガーシュウィンの《ラプソディ・イン・ブルー》と、多種多様な編成でバラエティに富んだプログラムが楽しめる本公演、ぜひ「編曲」の妙味も堪能してほしい。

＜文・加藤新平＞