＜5月31日　愛知・東海市芸術劇場＞　6歳から津軽三味線を始め、幼少期より数多くの津軽三味線大会で優勝を果たしてきた上妻宏光は、伝統に立脚しつつも、ジャンルや国境を飛び越えた活動で津軽三味線の可能性を広げている。
　「-月食-」と銘打った本ツアーでは、「月の満ち欠け」になぞらえて、カヴァー曲から新曲までさまざまな作品を披露する。今回初めて上妻と共演するのは、2009年にロストロポーヴィチ国際チェロコンクールにおいて、日本人として初優勝を成し遂げて以来、日本を、そして世界を代表するチェリストとして快進撃を続けている宮田大。これまでに参加したコンクールのすべてで優勝していることからみても、その実力と技術は折り紙付きだ。
　本ツアーで披露されるプログラムは本稿執筆時点で未発表であるが、ツアーのプロモーションビデオとして上妻の作曲による《La Noche de Segovia～セゴビアの夜》がYouTube上で発表されている。スペイン的な情熱と、日本的なリズム感とが融合した、まさに国境を超えたジャンルレスというべき楽曲だ。ふたりが繰り広げる熱いセッションに大いに期待したい。

＜文・加藤新平＞