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2020年08月14日放送

オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」

オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」
オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」について
 「オルフェオとエウリディーチェ」の作者、グルック(1714-1787)はモーツァルト以前、ヘンデルらと同時代に活躍した作曲家です。この作品は、ギリシア神話を元にしたもので、1762年に作曲された3幕からなるオペラです。主人公オルフェオが毒蛇に噛まれて死んでしまった妻を追いかけて冥界へと行き、愛の神アモーレとの駆け引きをしながら、妻を現世へと連れ戻すストーリーです。 【登場人物】 オルフェオ: 竪琴弾き エウリディーチェ: オルフェオの妻 アモーレ: 愛の神 作品の見所は、なんといてもアモーレがオルフェウスへ課す試練へと彼が立ち向かうところ。冥界で無事に妻との再会を果たしたオルフェウスが現世へと戻る時、アモーレから「決して後ろを振り返ってはいけない」と諭されます。しかし、顔を見せてくれない妻エウリディーチェの不信は募るばかり。そこでオルフェウスがとった行動とは・・。 この作品のもう1つのポイントは、オルフェオ役の声域です。作曲当時、オルフェオ役を歌ったのは、「カストラート」と呼ばれる去勢された男性歌手でした。(※カストラートは男性が声変わりをする前に声帯を切除し、意図的に声変わりをさせない男性歌手のこと。)現在では、カウンターテナーやバス、それにメゾ・ソプラノが担当することもあります。
グルックのしたこと
 1600年にフィレンツェでオペラが誕生してから150年後、グルックはそれまでのオペラ作品のあり方を変えることに奮闘しました。それが今でも「グルックのオペラ改革」として語り継がれています。彼が目指したオペラは、音楽とストーリーが一体になった作品です。それまでのオペラは、歌唱技術を見せることに重きが置かれ、物語の進行は二の次でした。しかしグルックは、「音楽は詩、心と外部の出来事の表現に奉仕する」とし、作品作りを行いました。この「オルフェオとエウリディーチェ」でも、音楽は登場人物の感情を表現するために作られています。劇中で、アモーレからの掟を破り振り返ってしまったオルフェオ。そこで彼が歌うアリア「エウリディーチェなしで僕はこれからどうすればいいのだ?」は、妻を失った彼の悲しみが、静かにそしてどこか穏やかに歌われます。悲しさの表現でも、単に暗く歌うのではなく、グルックはそこにオルフェオのエウリディーチェへの愛をも音楽で表現したのです。

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