＜11月12日　熊本県立劇場＞　いまもっとも波に乗るふたりのピアニスト、實川風と黒岩航紀。2015年にはロン＝ティボー国際コンクールにて第3位・最優秀リサイタル賞・最優秀現代曲賞を獲得し、翌年にはカラーリョ国際ピアノコンクールにて第1位・聴衆に輝いた實川風は、イタリア、フランス、韓国、中国など世界各国で演奏活動を展開しつつ、NHK Eテレ「クラシック音楽館」などメディア出演も精力的にこなしている。
　一方の黒岩航紀は、第84回日本音楽コンクール第1位、第11回東京音楽コンクール第1位、さらには2023年第17回チャイコフスキー国際コンクールにおいてセミファイナリストおよび優秀演奏者賞など、着実に実績を積み重ねながら、世界各国の著名オーケストラとも共演している。
　若き実力派ピアニストふたりがタッグを組んでお届けするコンサートは、シューマンの《トロイメライ》やリストの《ラ・カンパネラ》といった、誰もが知るクラシック音楽の名曲だけでなく、プロコフィエフの《ばったの行進》や湯山昭の《バウムクーヘン》など、子どものためのピアノ曲に焦点を当てていることが特徴だ。もちろん、シャブリエの《スペイン》をはじめとする2台ピアノのプログラムからも目が離せない。
　演奏はカメラで撮影され、リアルタイムで大型スクリーンに投影されるので、すべての座席から演奏の様子を身近に感じられることも魅力。
　コンサートの雰囲気とマナーを子どもたちに経験してほしい、という願いを込めて、あえて年齢制限を設けず開催される本公演、ご家族で「芸術の秋」を楽しむには最適だろう。

＜文・加藤新平＞