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＜8月5日 広島文化学園HBGホール＞ 広島交響楽団にとって大切なコンサートのひとつである「平和の夕べ」。1945年8月6日に投下された原子爆弾によって灰燼に帰し、広島市民の不断の努力によって美しくよみがえった広島から日本へ、そして世界へと「平和」と尊さと大切さを伝えて来た。
プログラムは今年没後60年を迎える作曲家、プーランクの《平和のためにお祈りください》で幕を開ける。本公演の指揮をつとめる音楽総監督の下野竜也が自ら編曲した管弦楽版を、切々と訴えかける旋律をソプラノの隠岐彩夏が歌い上げる。生誕90周年・没後10周年を迎えた三善晃の《夏の散乱》は、広島と長崎への原爆投下を音で刻んだ、シリアスな作品だ。透明感と重厚さとを兼ね備えた三善晃ならではの作品とともに、しばし歴史に思いを馳せてほしい。原爆の記憶を風化させてならない、との思いで作曲された糀場富美子の《未風化の七つの横顔》は、ピアノ独奏曲としても知られる作品。萩原麻未のピアノがオーケストラとともに「語り部」のように音を奏でていく。
コンサートの締めくくりは、ソプラノの隠岐彩夏、バス・バリトンの加藤宏隆を独唱者に迎え、エリザベト音楽大学合唱団と共に演奏するフォーレの《レクイエム》。悲しみの向こうに、穏やかな安らぎが広がっているこの作品は、まさに「平和の夕べ」にふさわしい。
心震える美しい旋律の連鎖に身を委ねながら、いまいちど「平和」というものを考えてみたい。
＜文・加藤新平＞
| 公演名 | 広島交響楽団 2023「平和の夕べ」コンサート |
|---|---|
| 日時 | 8月5日（土） 15:00開演（14:00開場） |
| 会場 | 広島文化学園HBGホール |
| 出演 | ［指揮］下野竜也 ［ピアノ］萩原麻未 ［ソプラノ］隠岐彩夏 ［バリトン］加藤宏隆 ［合唱］エリザベト音楽大学合唱団 |
| プログラム | プーランク（没後60年）：平和のためにお祈りください（管弦楽伴奏版／下野竜也編曲） 三善晃（生誕90年／没後10年）：夏の散乱 糀場富美子：未風化の7つの横顔 ピアノとオーケストラのために フォーレ：レクイエム ニ短調作品48 |
| チケット | 全席指定：S席5,000円 A席4,000円 学生2,000円 |
| お問い合わせ | 広響事務局 TEL：082-532-3080 |
