＜2024年1月13日・14日　中城城跡 馬場広場＞　石垣が見事な中城（なかぐすく）城跡は、「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」として世界遺産に指定され、国指定史跡、日本100名城にも選ばれている。
　2024年1月、この中城城跡を舞台とする初のオペラ公演が開催される。プロジェクションマッピングを駆使した演奏会形式で演奏する作品は、2024年に没後100年を迎える作曲家、プッチーニの名作《ラ・ボエーム》。19世紀のパリを舞台に、詩人のロドルフォとお針子ミミの純愛、貧しさの中でもがきながらも明日の成功を夢見る若い芸術家たちの生活を描いた本作は、プッチーニの作品として、そしてイタリア・オペラの作品として屈指の人気を誇る。
　ロドルフォ役を務めるのは、2000年にウィーン国立歌劇場でデビューして以来、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本で活躍するジョン・健・ヌッツォ。ミミ役は宮城美幸、知念利津子が、ムゼッタ役は友利あつ子、金城理沙子がダブル・キャストで務めるなど、沖縄出身の実力派がずらりと並ぶ。
　国内外から集結したオペラ歌手に加え、1996年にスウェーデンのマルメ歌劇場の音楽監督に就任するなど、ヨーロッパのオペラ界で活躍する指揮者、大勝秀也率いる琉球交響楽団のサウンド、そしてプロジェクションマッピングとが、中城城跡の壮大なロケーションと融合した本公演は、まさに「かつてない」ものとなるだろう。

＜文・加藤新平＞