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時代を駆け抜けるピアニスト、角野隼斗

 東大理系出身という異色の経歴を持ち、第18回ショパン国際ピアノコンクールで世界的にも大きな注目を集めたピアニスト・角野隼斗さん。「かてぃん」として活動するYouTubeチャンネルの登録者数は120万人を超え、「ららら♪クラブ」の人気投票でもたびたび1位を獲得するなど、絶大な人気を誇っています。  満を持しての登場となる今回のインタビューでは、これまでの音楽とのかかわり、2024年1月から始まる全国22公演のツアーへの意気込みについてなど、静かに、しかし熱く語っていただきました。

©RyuyaAmao

クラシック音楽との出会い

―― 角野さんとクラシック音楽との出会いについてお話しいただけますか?

母がピアノの先生をしていまして、リビングにグランドピアノがあったため、2歳ぐらいの時に自然に始めました。それが音楽との出会いですね。

幼少期、自宅のグランドピアノに座って

―― 子どものころに初めて行ったコンサートは覚えていますか?

初めてではないかもしれませんが、6歳ぐらいの時、サントリーホールに東京交響楽団の「こども定期演奏会」を聴きに行ったのはよく覚えています。

―― 角野さんは子どもの頃から天才音楽家として注目を集めていましたが、音大ではなく東京大学に進学されたのはなぜでしょうか。

中学・高校のころは、クラシックよりもジャズやロックのほうに気持ちが向いていて、なおかつ僕は、それで飯を食っていくとは夢にも思っていませんでした。もちろん、音大でクラシックピアノを学ぶことも考えましたが、1日中ピアノを練習して、将来的にはピアノの先生になる、みたいなキャリアが自分には想像できなくて。数学も好きでしたし、迷いましたが、最終的には東大に決めました。

小学生のころ

クラシックからジャズ、ロックへ

―― 大学では「東大POMP」というサークルに所属して、バンド活動をされていたそうですね。

大学でのバンド活動が僕に与えた影響はすごく大きいですね。とにかく、いろんなジャンルの曲をひたすらコピーしたんですよ。19歳の時、とにかく上原ひろみさんの曲を弾きたくて、仲間を集めてバンドを組みました。
サークルなので仲間から誘われて演奏する時もあり、そこで初めて知る作品も多かったです。ジャズから始まってポップスやファンク、あとはプログレッシブ・ロックやヘヴィメタルもやりました。

―― とても幅広いですね!

最初のころはバンドの中でどうキーボードを弾けばいいのか、どうリズムに乗ればいいのかまったくわかりませんでした(笑)。でもその経験は今、ガーシュウィンやカプースチン、バルトークを弾く時などに、明らかに活きていると思います。

―― その一方で、クラシック音楽の勉強も続けられていたのでしょうか。
東京大学卒業式
演奏活動と言えるようなものではないですけど、「東大ピアノの会」にも所属してコンサートに出たり、コンクール後の小さな入賞コンサートにも出演していました。
細々とした内容ではありますが、クラシックとは完全に離れることはなく、ピアノを弾き続けていた感じです。

数学的な思考がもたらしたもの

―― これまでに影響を受けた音楽家、好きな音楽家でパッと名前が思い浮かぶ方はいますか?

ピアノの演奏のスタイルではマルタ・アルゲリッチとグレン・グールド。音楽家という意味では坂本龍一さんの音楽、意識、活動スタイルに影響を受けています。

―― クラシック音楽以外の分野で、影響を受けた人はいますか?

絵画のことはそんなに詳しくないんですが、画家ではモンドリアンが好きです。幾何学的で無機質で、数学的とも言えるような感じがするので。

―― まさに、これからお聞きしたかったことです。角野さんは東京大学で音響工学を専攻し、大学院では機械学習を用いた自動採譜・自動編曲について研究されています。大学・大学院での数学的な学びと、今の創作・演奏活動との関係についてお話しいただけますか。

大学4年から大学院まで研究に取り組んでいたのですが、その世界にいると、つい「今まで人類がどういうことを成し遂げてきて、どういうことをすればその世界・分野に貢献できるのか」などと、いろいろなことを考えてしまいます。難しいことではありますが、世界にひとつしかないものをつくれとか、そういうことを要求されることも多い。
この経験は、自分の思考を形作っている大きな土台のひとつになっています。

―― それは音大ではできない、得がたい経験ですね。

その後、僕はピアニストになるんですが、根本的な考え方はそんなに変わっていません。
今の時代、自分は人類の歩みに何を付け加えられるだろうか、といつも考えています。たとえばYouTubeひとつ取っても、視聴者におもしろいと思ってもらうためには、やっぱりユニークなものを創ることが大切です。クラシック音楽だけを学んでいたら、そういう考え方は得られなかったかもしれません。
これは数学的というより、アカデミックなバックグラウンドからの影響ですけど、東大時代に培ったこういった考え方は非常に大きな部分を占めていますね。

―― 音楽は数を扱うため、数学でもありますよね。
フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)留学時
僕は、数学が音楽に絶対に必要だとは思わないんですが、数学的思考や物理学的な知識が役に立っていることはたくさんあります。たとえば音程や音階、和音を定義する構造や、拍子が複雑になった時の構造とか、そういったところで基本的な数学が出てきます。
僕の研究は音に関することで、音の物理学的な知識やアプローチは自分の中にベースとして存在するため、何かしらの概念を理解する時、それらがキーになることはありますね。

大学院では教授推薦でフランス国立音響音楽研究所(IRCAM)に留学もしたので、そこで得た学びも大きく影響しています。

ショパンのすごさを実感

―― 角野さんは第18回ショパン国際ピアノコンクールに参加され、世界的にも大きな注目を集めました。そこでの出会いや経験が、現在の活動に影響を及ぼしていると感じますか?

海外での活動に関しては、ショパンコンクールがなければ何も始まらなかったと思います。
コンクールまではショパンにずーっと向き合っていたんですが、その間に学んだことはとても大きくて。
僕の師匠であるジャン=マルク・ルイサダ先生、金子勝子先生から多くのことを学んだのはもちろん、ショパンという人を深く知る中で、彼の美意識のようなものを強く感じるようになりました。あの時にショパンを集中的に学んだことは、今でも自分が音楽をやる上での大きな指針となっています。

―― 次回(2025年)のコンクールへの参加は考えていますか?

それはないですね。

YouTubeの美意識――視覚と聴覚の融合

―― 現在、ニューヨークと東京で活動をされていますが、ニューヨークに拠点を構えようと思ったきっかけは何ですか?

とにかく、日本を出たくてたまらなくなったんです。音楽家の友だちをもっと作りたい、ヨーロッパやアメリカでの演奏機会を増やしたいとも考えていますが、これは決意表明でもあります。僕は良くも悪くも環境に左右されるところがあるため、環境を変えることが大事だと思い決めました。

―― YouTubeチャンネルでは坂本龍一さんや宇多田ヒカルさん、久石譲さんのジブリ映画の音楽など、さまざま曲のカバーをされていますが、選曲のポイントについて教えていただけますか。

基本的には、クラシック音楽という僕のバックグラウンドが生きる曲や、単純に弾きたい曲を選んで弾いていますが、最近は「これを弾くことにどういう意味があるのか」といったことも考えています。

―― それは先ほどのアカデミックな考え方ともつながりますね。角野さんは動画内であらゆる鍵盤楽器や打楽器を駆使されています。たとえば韓国のソウルで、漢江の夜景に包まれながら船上で演奏している動画など、独自の映像美が印象的ですが、そういった創作のインスピレーションはどこから得ているのでしょうか。

とにかく大量のインプットをすることですね。最初のころは、ピアノの演奏はもちろん、世界中のいろんなジャンルの動画を見ました。最近はさまざまなジャンルの音楽も聴きますし、映画やアート作品もよく見ます。

―― 映像編集のこだわりはありますか?

僕はシンプルなカットが好きなので、ワンカットかせいぜいツーカットぐらいで撮ることが多いです。定点から撮るのが好きで、ただ自分が部屋の中で弾いているところを何気なく撮影するというのが美意識です。小津安二郎監督の映画『東京物語』はずーっと定点で撮り続けていて、カメラが切り替わることが少ない。少ないからこそ、登場人物の心の機微に気付きやすい。そういう映像でありたいと思うのです。
僕は映像のプロではなくピアニストなので、映像によって音楽をどう届けるかということを一番に考えますね。視覚は聴覚と切り離せないものですから。

―― YouTubeで「かてぃん」として活動されている時と、本名の角野隼斗として活動されている時ではアプローチを変えているとか、そういうことはありますか?

そんなに明確な使い分けはしていないんですが、好奇心を持って音楽で遊ぶのが「かてぃん」で、ひたすら音楽を突き詰めるのが本名なのかもしれません。どちらかというと「かてぃん」の時の方が、実験的な要素が強いですね。

クラシック音楽の未来を見据えて――聴衆を信じること

―― 角野さんのYouTube Liveには、しっかり作り込まれた動画の世界とはまた違った魅力があります。YouTubeの動画やライブ、生のコンサートで視聴者や観客の方々に音楽を届けるにあたって、角野さんが心がけていることや伝えたいことはありますか?

やはり聴いてくれる方を信じることと、コミュニケーションですね。
「こんなことは知っていて当然だろう」とか、逆に「こんな難しいことはどうせわかってもらえないだろう」とか、そういうことを前提にしないよう考えています。もちろんひとりひとりの知識量や興味は違いますが、我々の役目は音楽のすばらしさを伝えることなので、「こんなに楽しいことがあるんだけど、一緒にどうですか?」という姿勢を常に大切にしています。

―― 今のクラシック音楽界について思うことがありましたら、お話しいただけますか?

クラシック音楽は歴史と伝統の長いジャンルなので、どうしても視点が過去のほうに向いてしまいがちです。昔の人がその時々の音楽をその場で楽しんでいたように、僕たちもいま現在の音楽を皆さんに伝えていかなきゃいけないと思いますし、それが未来にどうつながっていくかということも考えたい。
だから僕は、現代音楽の作品も積極的に取り上げています。現代音楽というと難しそうなイメージがありますが、2022年10月にトーマス・アデスの《ピアノと管弦楽のための協奏曲》を日本初演し、今年6月には現代アメリカを代表するミニマル・ミュージック作曲家であるジョン・クーリッジ・アダムズの《Must the Devil Have All the Good Tunes?》を演奏しました。前者のトーマス・アデスは「ベンジャミン・ブリテンの再来」との呼び声も高い、イギリスの作曲家兼ピアニスト兼指揮者でもあります。

―― それは角野さんならではの意欲的な試みですね。

現代音楽には、ほかのジャンルから影響を受けたおもしろい部分がたくさんあります。
僕は「クラシックの歴史の中で、こんなにおもしろい音楽が生まれてくるんだ!」ということをいま肌で感じたいし、そういうものをどんどんお客さんにも届けていきたいと思っています。

全国ツアー2024 “KEYS”――鍵盤の可能性、その飽くなき挑戦

―― 2024年1月から3月にかけて、全国22公演というこれまでにない大規模なツアーをされますが、それに向けての意気込みについてお聞かせいただけますか。

来年のツアーには“KEYS”というタイトルを付けました。1、2年前からグランドピアノだけでなく、アップライトピアノやトイピアノなど、いろいろな鍵盤楽器を駆使して音楽を試みているので、ツアーではそれをより突き詰めていこうと思っています。
ステージに鍵盤楽器をたくさん持ち込んで、前半はグランドピアノで古典を中心に、後半はオーケストラ作品を、複数の鍵盤楽器を使って表現します。

―― とても楽しそうですね! 今発表されているプログラムではバッハやモーツァルトをはじめとした古典作品と、角野さんご自身の新作やアレンジによる作品がズラリと並ぶ、魅力的なラインナップになっていますね。
©RyuyaAmao
「KEY」にはピアノの鍵(けん)、音楽の調という意味のほかに、「鍵(かぎ)」……転じて重要なものという意味もあります。調性という部分では、2024年なので《24の調によるトルコ行進曲変奏曲》を創るというアイデアが浮かんできました。今まさに作っている最中で、まだ世に出ていないのですが(笑)。
ガーシュウィンの《パリのアメリカ人》やラヴェルの《ボレロ》は、さまざまな鍵盤を使ってアレンジする予定です。2曲とももともとオーケストラの作品なのでいろんな楽器が出てきますし、《ボレロ》は同じフレーズが別の楽器で展開されていく作品なので、つながりを感じますね。それをひとりでやるのは、なかなか挑戦的なことかもしれないです。

21世紀的なクラシック音楽の楽しみ方

―― これからチャレンジしてみたいプロジェクトはありますか?

たくさんありますが、1年以内ぐらいの直近ではアルバムを作成したいですね。これは今度のツアーにも関連するんですけど、「ピアノなんだけど、ピアノだけのサウンドじゃない」みたいな、そういった独自のものを創りたいです。ここではまだ、言えないこともあるんですけど(笑)。

―― 音楽以外で今、楽しんでいる趣味、あるいは興味があることは?

言語ですね。英語は最近話せるようになってきたんですが、フランス語と韓国語もマスターしたいと思って勉強しています。
言語を学んでいると、言語同士の関連性が見えてくるのがおもしろいですね。文法にしても言葉にしても、日本語と韓国語は似ています。フランス語と英語も同じく似ていますよね。4か国語マスターを目指したいと思います!

―― たくさんの興味深いお話をありがとうございました。最後に「ららら♪クラブ」の読者へ向けてのメッセージをお願いします。

「クラシック音楽は敷居が高い」と思われている方は、実際のところ多くいらっしゃいます。
なので「初心者でも、誰でも聴ける」みたいなコンサートがたくさん開催されていますが、どうしても有名どころの曲を演奏しがちになる。それだけでなく、本質的にクラシックのおもしろさを伝えるにはどうすれば良いかを、日々考えています。

クラシックに限らず、昨今はコンサートの作り方が多様化してきていますよね。9月には、外壁がLEDで覆われた球体型のコンサート施設「Sphere(スフィア)」がアメリカ・ラスベガスでオープンし、こけら落としとして世界的ロックバンド、U2のライブが行われました。クラシックでは難しいかもしれませんが、視覚から入るというのは21世紀的な音楽の楽しみ方ですよね。

僕はYouTubeで演奏しているので視覚からの情報を気にする方ですが、YouTubeでも一部のクラシック演奏家や、ポスト・クラシカルというジャンルに属する人たちの曲を視聴すると、映像も音楽も美しくて、すっと入っていけるものが多くあります。視覚から入ったり、映像重視だったり、そういった音楽の楽しみ方も良いと思います。
皆さん、もっと五感で音楽を楽しんでください。そしてぜひ、五感で楽しんでいただける僕のコンサートにいらしてくださいね。

(取材・文 内田雅子)

今後の公演情報

角野隼斗全国ツアー2024 “KEYS”

日時・会場 ●2024年1月31日(水) 19:00開演(18:00開場)
東京エレクトロンホール宮城

●2024年2月2日(金) 19:00開演(18:00開場)
大阪・ザ・シンフォニーホール

●2024年2月3日(土) 17:00開演(16:00開場)
京都コンサートホール 大ホール

●2024年2月4日(日) 16:00開演(15:00開場)
石川県立音楽堂 コンサートホール

●2024年2月7日(水) 19:00開演(18:00開場)
福島・ふくしん夢の音楽堂(福島市音楽堂)

●2024年2月10日(土) 14:00開演(13:00開場)
新潟・柏崎市文化会館アルフォーレ 大ホール

●2024年2月11日(日) 16:00開演(15:00開場)
埼玉・所沢市民文化センター ミューズ アークホール

●2024年2月12日(月・祝) 16:00開演(15:00開場)
長野・サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホール

●2024年2月14日(水) 18:30開演(17:30開場)
秋田・アトリオン音楽ホール

●2024年2月16日(金) 19:00開演(18:00開場)
愛知・東海市芸術劇場 大ホール

●2024年2月18日(日) 16:00開演(15:00開場)
山形テルサ テルサホール

●2024年2月23日(金・祝) 16:00開演(15:00開場)
福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)

●2024年2月25日(日) 16:00開演(15:00開場)
岡山シンフォニーホール

●2024年2月27日(火) 19:00開演(18:00開場)
京都・けいはんなプラザ メインホール

●2024年2月29日(木) 18:30開演(17:30開場)
徳島・あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)

●2024年3月2日(土) 16:00開演(15:00開場)
東京・サントリーホール 大ホール

●2024年3月7日(木) 19:00開演(18:00開場)
東京・サントリーホール 大ホール

●2024年3月8日(金) 19:00開演(18:00開場)
東京・サントリーホール 大ホール

●2024年3月10日(日) 16:00開演(15:00開場)
広島上野学園ホール

●2024年3月19日(火) 19:00開演(18:00開場)
北海道・札幌コンサートホールKitara 大ホール

●2024年3月20日(水) 16:00開演(15:00開場)
北海道・函館市芸術ホール

●2024年3月23日(土) 16:00開演(15:00開場)
千葉・森のホール21 大ホール(松戸市文化会館)
出演 [ピアノ]角野隼斗
プログラム J.S.バッハ:イタリア協奏曲 BWV971
モーツァルト:ピアノソナタ第11番 イ長調 K.331《トルコ行進曲付き》
角野隼斗:24の調によるトルコ行進曲変奏曲、大猫のワルツ
ガーシュウィン(角野隼斗編曲):パリのアメリカ人
ラヴェル(角野隼斗編曲):ボレロ
ほか
チケット 全席指定:S席6,800円 A席5,800円 U25席2,800円
詳細 こちらから
お問合せ イープラス
E-mail:sumino-info@eplus.co.jp

角野 隼斗(Sumino Hayato)

1995年生まれ。
2018年、東京大学大学院在学中にピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞。これをきっかけに、本格的に音楽活動を始める。2021年、第18回ショパン国際ピアノコンクールセミファイナリスト。2019年、リヨン国際ピアノコンクール第3位。2017年、ショパン国際コンクールin ASIA大学・一般部門アジア大会にて金賞受賞、その他受賞多数。これまでにハンブルク交響楽団、ブダフォク・ドホナーニ管弦楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、群馬交響楽団、国立ブラショフ・フィルハーモニー交響楽団等と共演。ジャン=マルク・ルイサダ、金子勝子、吉田友昭の各氏に師事。
2020年3月、東京大学大学院情報理工学系研究科を卒業。卒業時に「東京大学総長大賞」を受賞。2018年9月より半年間、フランス音響音楽研究所(IRCAM)にて音楽情報処理の研究に従事。
現在は国内外でコンサート活動を行う傍ら、“Cateen(かてぃん)”名義で自ら作編曲および演奏した動画をYouTubeにて配信し、チャンネル登録者数は120万人を、総再生回数は1億回をそれぞれ突破(2023年6月現在)。クラシックで培った技術とアレンジ、即興技術を融合した独自のスタイルが多くのファンに受け入れられている。

ハンブルグ、ブダペストでのオーケストラ共演のほか、パリ、ウィーン、ポーランドなどにてリサイタルを開催し好評を博す。2019年12月に、自身初の全国5都市でのソロリサイタルツアーを開催。2020年12月にはサントリーホールデビューを果たし、チケットは発売即日に完売。2021年6月にはジャズの聖地「ブルーノート東京」デビューを果たす。2022年の全国9都市ツアーでは「東京国際フォーラム ホールA」で千秋楽公演を行った。

2020年12月1stフルアルバム「HAYATOSM」(eplus music)をリリース。オリコンデイリー8位を獲得。ほか「島本須美 sings ジブリ リニューアルピアノバージョン」(Warner)では全曲ピアノ演奏/編曲。milet、ゆず、映秀。をはじめさまざまなアーティストとのコラボ活動も手掛ける。CMではブルボン「ルマンド」の音楽/ピアノ演奏を担当。

メディア露出として、第72回NHK紅白歌合戦にて上白石萌音と共演、MBS「情熱大陸」、TBS「バース・デイ」などのドキュメンタリー番組や、テレビ朝日「題名のない音楽会」「ミュージックステーション」、NHK「クラシックTV」「クラシック倶楽部」などの音楽番組にテレビ出演多数。2022年4月スタートのNHK 「サタデーウォッチ9」の番組音楽を手がけている。また、MBSラジオにて2020年4月からスタートしたメゾン・ド・ミュージック「角野隼斗のはやとちりラジオ」のパーソナリティを務める。

2021年より、CASIO電子楽器アンバサダー、スタインウェイアーティスト。

クラシック音楽に確かな位置を築きつつも、ジャンルを越えた音楽すべてに丁寧に軸足を置く、真に新しいタイプのピアニストとして注目を集めている。

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