
<9月19日 宮城・宮城野区文化センターパトナホール> ピアノ・ファンならだれもが知る浜松国際ピアノコンクール。1991年の初開催以来、世界各国から多数の出場者を迎え、第4回優勝者のアレクサンダー・ガヴリリュクや第2位の上原彩子、第7回優勝者のチョ・ソンジンをはじめ、世界を席巻するピアニストを数多く送り出してきた。
2024年に開催された、第12回浜松国際ピアノコンクールにおいて、鈴木愛美が日本人として初優勝を果たし、室内楽賞、聴衆賞、札幌市長賞、ワルシャワ市長賞もあわせて受賞した。大阪府で生まれ、東京音楽大学器楽専攻ピアノ演奏家コースを首席で卒業し、現在は東京音楽大学大学院修士課程に特別特待奨学生として在籍している、日本の若手のホープである。
本公演のために鈴木が選んだプログラムは、シューベルトとフォーレという組み合わせ。シューベルトの《高雅なワルツ集》D 969 Op.77に始まり、フォーレの《主題と変奏》嬰ハ短調 Op.73、《ノクターン》第6番 変ニ長調 Op.63、《ワルツ・カプリス》第2番 変ニ長調 Op.38と続き、そしてシューベルトのピアノ・ソナタ第18番 ト長調 D 894 Op.78で締めくくられる。
本稿ではフォーレの《主題と変奏》とシューベルトのピアノ・ソナタ第18番に焦点を当てたい。1895年に作曲されたフォーレの《主題と変奏》は、フォーレが作曲した唯一の変奏曲でありながら、「変奏曲」というジャンルにおいて主要な位置を占めている。重苦しい付点リズムの主題が、時に軽やかに、時に華やかに、ときに激しくその姿を変えてゆく。シューベルトのピアノ・ソナタ第18番は、1826年に作曲された。同音連打が印象的でシチリアーノ風の響きを持つ第1楽章、優美な第2楽章、やや硬い印象のメヌエットである第3楽章、快活に駆け抜けてゆき、余韻を残して遠ざかる第4楽章という構成をもち、「幻想」の愛称で知られている。
浜松国際ピアノコンクールの歴史にその名を刻んだ鈴木の演奏を、ぜひ全身で体感してほしい。日本のピアノ界の明るい未来が見えてくるはずだ。
<文・加藤新平>
公演名 | 鈴木愛美 ピアノ・リサイタル 〜浜松国際ピアノコンクール日本人初優勝記念〜 |
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日時 | 9月19日(金) 18:30開演(18:00開場) |
会場 | 宮城野区文化センター パトナホール |
出演 | [ピアノ]鈴木愛美 |
プログラム |
シューベルト:高雅なワルツ集 D 969 Op.77、ピアノ・ソナタ第18番ト長調 D 894 Op.78《幻想》 フォーレ:主題と変奏 嬰ハ短調 Op.73、ノクターン第6番 変ニ長調 Op.63、ワルツ・カプリス第2番 変ニ長調 Op.38 |
チケット | 全席指定:S席4,000円 A席3,000円 |
お問い合わせ |
ニイタカプラス仙台オフィス TEL:022-380-8251 |