
<8月19日、20日 レクザムホール(香川県県民ホール)> 「ららら♪クラブ」読者のみなさまは、夏の音楽祭……というとどういったものをイメージされるだろうか。著名な演奏家の名を冠したもの、世界中の若手音楽家が集うものなど、「音楽祭」と一口に言ってもその形態はさまざま。アフィニス文化財団が主催する「アフィニス夏の音楽祭」は、日本のプロオーケストラ・メンバーのためのセミナー音楽祭である。全国から集結した、プロフェッショナルの受講生が、世界中から集まった招聘演奏家のもとで、室内楽曲を中心とする課題曲に取り組む。
プロがプロの指導を受け、ともに音楽を作り上げてきた成果を発表するのが本公演、すなわち「室内楽演奏会」だ。本稿執筆時点で、演奏者の顔触れは未発表だが、各公演の曲目だけで心躍るクラシック音楽ファンも多いことだろう。
8月19日(火)の公演は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの《六重奏曲》Op.71、ヨハネス・ブラームスの《クラリネット五重奏曲》Op.15といった、ドイツ音楽の王道ともいうべき作品に加えて、19世紀のデンマークを代表する作曲家ニルス・ゲーゼの《弦楽五重奏曲》、20世紀のフランスにおける新古典主義を代表する作曲家ジャン・フランセの《八重奏曲》、そして1960年生まれのアルゼンチンの作曲家オスバルド・ゴリホフの《ラスト・ラウンド》と、ドイツ・ロマン派から現代音楽まで幅広くカバーしている。
8月20日(水)のプログラムも意欲的だ。19世紀のスウェーデンの作曲家フランツ・ベルワルドの《七重奏曲》、メンデルスゾーンの《ヴァイオリン協奏曲》の初演者でもあるヴァイオリニスト兼作曲家フェルディナンド・ダヴィッドの《弦楽六重奏曲》、モーリス・ラヴェルの《弦楽四重奏曲》、そしてカナダの作曲家ケリー・マリー・マーフィーの《ブルースとエキサイテーションの原理》の弦楽九重奏版世界初演と、室内楽ファンなら感涙ものの選曲。
本稿では、現代の室内楽を代表する作品として選ばれている、ゴリホフの《ラスト・ラウンド》と、マーフィーの《ブルースとエキサイテーションの原理》に注目したい。いずれも「弦楽九重奏」という、あまりなじみがない編成の作品だが、弦楽器の機動性と厚みによって、オーケストラに匹敵する充実した響きが生まれる。
躍動感あふれる前半と、和音の美しさが際立つ後半の対比がみごとなゴリホフの作品、音の持続性に重きを置きつつ、音色の変化が作品を形作るカギとなっているマーフィーの作品、いずれも現代音楽ファンから、「現代音楽にはあまり馴染みがなくて……」という方まで、すべての聴衆に強い印象を残すことだろう。
<文・加藤新平>
公演名 | アフィニス夏の音楽祭2025かがわ 室内楽演奏会[1] |
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日時 | 8月19日(火) 18:00開演(18:30開演) |
会場 | レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール |
プログラム |
ベートーヴェン:六重奏曲 変ホ長調 Op.71 ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115 O.ゴリホフ:ラスト・ラウンド ゲーゼ:弦楽五重奏曲 ヘ短調 フランセ:八重奏曲 |
チケット | 全席指定:3,000円 学生(24歳まで)1,000円 セット券([1]&[2])5,000 円 |
お問い合わせ |
アフィニス文化財団 TEL:088-622-8121 |
公演名 | アフィニス夏の音楽祭2025かがわ 室内楽演奏会[2] |
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日時 | 8月20日(水) 18:00開演(18:30開演) |
会場 | レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール |
プログラム |
ベルワルド:七重奏曲 変ロ長調 ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 ダヴィッド:弦楽六重奏曲 ト長調 Op.38 K.M.マーフィー:ブルースとエキサイテーションの原理 <本音楽祭のための弦楽九重奏版/初演> |
チケット | 全席指定:3,000円 学生(24歳まで)1,000円 セット券([1]&[2])5,000 円 |
お問い合わせ |
アフィニス文化財団 TEL:088-622-8121 |