岩城宏之生誕90年を迎えた昨年、盟友の作曲家・山本直純さんとの破天荒かつ愛すべき藝大時代の青春記『森のうた』(河出文庫)を復刊し、新聞で紹介されるとたちまち話題を呼び重版。つづいて今年春に指揮とは何かを楽しくレクチャーする『指揮のおけいこ』(河出文庫)を復刊。これらに続く3冊目の復刊です。
<文・河出書房新社>
(*元本は、文藝春秋で単行本刊行(2002年)ののち、文春文庫(2005年)に収められていました)
岩城さんから時を超えて届いた、とびきり愉快なクラシック音楽への招待状です。
名指揮者にして名エッセイスト、岩城宏之
国内外のオーケストラで活躍し、2006年に亡くなった名指揮者・岩城宏之さん。エッセイストとしても活躍し、そのユーモアあふれる著書を通して、クラシック音楽に親しみや興味を持った人も多いのではないでしょうか。
「マニアじゃない人にこそ、ほんもののクラシックを届けたい。そして、その素晴らしさに無限に目覚め続けてもらいたい。これが岩城さんのみならず、小澤征爾さんに山本直純さんら、戦後日本のクラシックの土壌を耕してきた音楽家みんなの目標であり、夢だった」、「クラシックを権威にすることは、多くの人に対して壁をつくることに等しい。そうさせないために、(岩城さんは)自らとことん遊び、楽しんでいる後ろ姿を人々に見せる。あんなに楽しそうにしているんだから、あそこに何か面白いものがあるに違いない。そうしてふらりと吸い寄せられた人たちに対し、岩城さんはクルリと向き直り、満面の笑みでこう叫ぶのだ。「この指、とまれ!」 そのために岩城さんは音だけでなく、言葉も総動員した。無限のおもちゃ箱であるクラシックの世界へと、あの手この手で人々を招き入れようとした」と、岩城さんと親交のあった朝日新聞編集委員の吉田純子さんは、本書の解説で述べています。
軽妙に、イメージ豊かに、広く深く、クラシック音楽の面白さを伝え続けてきた岩城さん。音の世界はもちろん、言葉の世界も是非お楽しみください。
■目次・各章タイトル
まえがき
レッスン1 裏方の大将は超多忙!
レッスン2 ピアノとハープの大移動
レッスン3 一日アルバイトをやってみた
レッスン4 オーケストラ御用達の運送会社
レッスン5 ドクター・イン・レジデンス
レッスン6 シャフヤは大変だ!
レッスン7 東京ハッスルコピーの人たち
レッスン8 「クラシック」を定義する
レッスン9 ピアノのお医者さん
レッスン10 プロによるプロのためのプロフェッショナルな調律
レッスン11 アンコールはいつから始まった?
レッスン12 音楽会にチラシが多いワケ
あとがき
解説(吉田純子)
■内容紹介
ピアノやハープなど大型楽器の運搬から、ステージマネジメント、写譜、調律、チラシの配布まで、クラシックコンサートに欠かせない裏方たち現場に指揮者自らが飛び込み、その職人技をレポート! 「アンコール」についてのおしゃべりも。読めばきっとコンサートに行きたくなる、クラシックファンも入門者も、必読の名エッセイ集。
■著者紹介
岩城宏之(いわき・ひろゆき)
1932年東京生まれ。東京藝術大学在学中にNHK交響楽団副指揮者となり、56年デビュー。ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、メルボルン交響楽団など世界の主要オーケストラを指揮。一方、日本初の常設室内管弦楽団オーケストラ・アンサンブル金沢の創設、日本人作曲家作品の積極的な初演など、日本クラシック界の発展に尽くした。中島健蔵音楽賞、サントリー音楽賞、朝日賞、紫綬褒章など受賞多数。エッセイストとしても活躍し、『フィルハーモニーの風景』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。2006年逝去。07年、岩城宏之音楽賞が創設された。
■書誌情報
書名:オーケストラの職人たち
著者:岩城宏之
仕様:文庫判/並製/288ページ
発売⽇:2023年11⽉7日
税込定価:990円(本体 900 円)
ISBN:978-4-309-42017-2
装丁:アルビレオ 装画:勝田文
URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309420172/
□岩城宏之の本 好評既刊
『森のうた 山本直純との藝大青春記』(河出文庫)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309418735/
『指揮のおけいこ』(河出文庫)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309419527/