
<6月13日 東京・王子ホール> 森谷真理は、日本でいま最も注目を集めるソプラノ歌手のひとりだ。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で《魔笛》の夜の女王役で大好評を博し、リンツ州立劇場の専属歌手を務めたほか、ウィーン・フォルクスオーパーやザクセン州立歌劇場など、オーストリアを中心にヨーロッパ各地で活躍を続けている。日本国内においても、兵庫県立芸術文化センター《真夏の夜の夢》、日生劇場《ランメルモールのルチア》、二期会《蝶々夫人》《サロメ》《ルル》、新国立劇場《カルメン》《蝶々夫人》《ジュリオ・チェーザレ》などに出演してきたほか、びわ湖ホールプロデュースオペラにも数多く出演し、日本のオペラ・ファンを魅了し続けてきた。
長年フランスで活躍してきた名ピアニスト山田武彦を伴奏者に迎えての本公演は、言葉と音楽が密接に結びついた歌の数々を「言霊」にして届けるシリーズの第2弾。
プログラムの前半は、19世紀末~20世紀初頭のウィーンを中心に活躍したアルバン・ベルクの《初期の7つの歌》を披露する。ベルクといえばアルノルト・シェーンベルク、アントン・ウェーベルンとともに無調音楽・十二音音楽の扉を開き「新ウィーン楽派」の一角を占めていたことで知られるが、本作は初期の作品ということもあり、調性音楽の響きを極限まで拡大しつつ、美しい不協和音の連鎖で構成されている。
後半はオリヴィエ・メシアンの傑作《ハラウィ―愛と死の歌》。1945年のフランス開放後に作曲され、翌年初演された本作は、“肉体を超越して死を呼ぶ愛”をテーマとしている。「ハラウィ」とは聞きなれない言葉だが、これはペルーのケチュア語で「抗えず、しかも成就しない愛」を表すものである。ペルー民謡や鳥の声などさまざまな素材を引用して展開される大長編を、森谷がどう解釈し、どう聴かせてくれるか大いに期待したい。
<文・加藤新平>
公演名 | 森谷真理 Spirit of Language -言霊- Vol.2 ~Harawii 愛と死の歌~ |
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日時 | 6月13日(金) 19:00開演(18:00開場) |
会場 | 王子ホール |
出演 |
[ソプラノ]森谷真理 [ピアノ]山田武彦 |
プログラム |
アルバン・ベルク:《初期の7つの歌》より〈1.夜〉〈2.葦の歌〉〈3.ナイチンゲール〉〈4.夢にみた栄光〉〈5.室内にて〉〈6.愛の頌歌〉〈7.夏の日〉 メシアン:ハラウィ:《愛と死の歌》より〈1.眠っていた町、おまえ〉〈2.おはよう、緑の鳩よ〉〈3.山々〉〈4.ドゥンドゥ・チル〉〈5.ピルーチャの愛〉〈6.惑星の周期運動〉〈7.告別〉〈8.シラブル〉〈9.階段は太陽の姿を繰り返し語る〉〈10.愛する星の鳥〉〈11.星になったカチカチ〉〈12.闇の中に〉 |
チケット | 全席指定:6,000円 |
お問い合わせ |
王子ホールチケットセンター TEL:03-3567-9990 |