
<5月27日 栃木・宇都宮市文化会館> 1946年、バイエルン州の古都バンベルクへ移ってきたプラハ・ドイツ・フィルハーモニーの元メンバーをはじめ、各地から集まってきた音楽家たちにより、新しいオーケストラが結成された。その名はバンベルク・トーンキュストラー管弦楽団。現在のバンベルク交響楽団である。1949年からはかつてのプラハ・ドイツ・フィルの指揮者であったヨーゼフ・カイルベルトを首席指揮者に迎えた。1968年から芸術顧問を務めた、ブルックナー演奏の第一人者オイゲン・ヨッフム、1985年から首席指揮者を務めたホルスト・シュタインをはじめ、クラシック音楽の歴史に名を刻んだ名指揮者たちのもとで鍛え抜かれてきた。2016年からは、本公演にも出演するヤクブ・フルシャが首席指揮者を務めている。2010年にプラハの春国際音楽祭のオープニング・コンサートの指揮者を史上最年少で務めたことで知られる、現代チェコを代表する指揮者である。
本公演のプログラムで目を引くのは、サミュエル・コールリッジ=テイラーの《バラード》イ短調であろう。ロンドン出身のアフリカ系イギリス人として生まれたコールリッジ=テイラーにとって、本作がエドワード・エルガーの推薦により音楽祭で初演されたことは、作曲家としてのさらなる飛躍のきっかけとなった。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のソリストを務めるのは、東京大学大学院在学中の2018年にピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリに輝いた角野隼斗。「Cateen(かてぃん)」の名で登録者140万人を超すYouTuberとして活躍し、コアなクラシック・ファンだけでなく多くの人に愛されるピアニストとなっている。
プログラムのメインを飾るのは、ブラームスの交響曲第1番 ハ短調。偉大なベートーヴェンを乗り越えるため、作曲に20年以上を要したことで知られる本作だが、一気呵成に書き上げたかのように、ブラームスの様式美と旋律美には一本の筋が通っている。
誰もが知る名作と、なかなか実演に接する機会のない作品の両方を聴ける貴重な機会だ。ドイツの名門オーケストラと角野隼斗が起こす化学反応にも大いに期待したい。
<文・加藤新平>
公演名 | バンベルク交響楽団 ヤクブ・フルシャ(指揮) 角野隼斗(ピアノ) |
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日時 |
5月27日(火) 19:00開演(18:15開場) ※公演終了後の臨時バス運行についてはこちらから |
会場 | 宇都宮市文化会館 大ホール |
出演 |
[指揮]ヤクブ・フルシャ [管弦楽]バンベルク交響楽団 [ピアノ]角野隼斗 |
プログラム |
コールリッジ=テイラー:バラード Op.33 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18 ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 |
チケット | 全席指定:S席19,000円 A席14,000円 B席9,000円 C席6,000円 |
お問い合わせ |
AMATI TEL:03-3560-3010 |