
<7月18日~21日 東京文化会館大ホール ほか> チャイコフスキーの、いやクラシック・バレエの代表作と言っても過言ではないバレエ《くるみ割り人形》。〈金平糖の精の踊り〉〈花のワルツ〉〈トレパック〉をはじめ、「聴いたことある!」という曲がめじろ押しだが、案外「……実は舞台上演を観たことがない」という人も多いのではないだろうか。
歌劇《イオランタ》は、《くるみ割り人形》と同じ1892年12月18日に、サンクトペテルブルグのマリインスキー劇場で初演された。当時のパリ・オペラ座における慣例に倣って、オペラとバレエの2本立てという形で上演されたのである。チャイコフスキーにとって最後のオペラ作品となった本作は、ヘンリク・ヘルツの戯曲『ルネ王の娘』を原作とし、作曲者の弟のモデスト・チャイコフスキーが台本を執筆している。
南フランスの王女イオランタは、生まれつき目が見えない。父ルネ王は、彼女が王女であることを、そして目が見えていないことを本人に知らせぬまま、世界から隔絶された美しい庭園で育ててきた。庭園に許可なく足を踏み入れた者には、死罪が待っている。イオランタはロベルト公爵との婚約が決まっていたが、実は公爵はほかの女性を愛していた。ある日、公爵とともに宮殿を訪れた彼の友人のヴォーデモン伯爵が偶然秘密の庭の入り口に気づき、美しいイオランタにひと目ぼれしてしまう。ふたりはたちまち恋に落ち、そしてイオランタは自分の目が見えていないことを知ってしまう。禁を破ったヴォーデモンと、「光」の概念を知ったイオランタの運命は……。
ウィーン・フォルクスオーパー芸術監督で演出家のロッテ・デ・ベアの大胆なアイディアにより、同じ日に同じ劇場で初演された、チャイコフスキーの晩年の傑作ふたつを融合させたものが、本公演で東京二期会が上演する「イオランタ/くるみ割り人形」である。本公演の制作にあたり、ロッテ・デ・ベアは《イオランタ》を現実世界、《くるみ割り人形》を王女イオランタが夢に見る幻想の世界と位置付けた。《くるみ割り人形》は元々の台本から解き放たれ、バレエ・パートのみが抽出されて《イオランタ》の物語と交錯してゆく。
高い城壁に囲まれた庭園で暮らす盲目の王女イオランタは、夢の中でくるみ割り人形の王子に出会う。空想の世界で、イオランタは少女から成長してゆく自分の姿を見つめるが、やがて父ルネ王の姿と《くるみ割り人形》の「ネズミの王様」の姿が重なったとき、自分が「守られている」ことは「束縛」されていることでもあったと気づく。そんなとき、ヴォーデモン伯爵が禁じられた庭に迷い込んでくる……。
日本を代表するオペラ歌手がそろう東京二期会と、東京シティ・バレエ団の夢のコラボレーションは、バレエになじみのないオペラ・ファン、オペラになじみのないバレエ・ファン、そしてコアなオペラ・ファンやバレエ・ファン、誰もが魅了されることまちがいなし。ロッテ・デ・ベアの演出にも期待が高まる。
<文・加藤新平>
公演名 | 【東京公演】《東京二期会オペラ》 ピョートル・チャイコフスキー 作曲 イオランタ/くるみ割り人形 |
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日時 |
7月18日(金) 18:00開演(17:00開場) 7月19日(土) 14:00開演(13:00開場) 7月20日(日) 14:00開演(13:00開場) 7月21日(月・祝) 14:00開演(13:00開場) |
会場 | 東京文化会館 大ホール |
出演 |
【7月18日(金)、20日(日)公演】 [イオランタ]梶田真未 [ルネ]狩野賢一 [ヴォデモン伯爵]伊藤達人 [ロベルト]大川博 [エブン=ハキア]小林啓倫 [アルメリック]大槻孝志 [ベルトラン]水島正樹 [マルタ]小野綾香 [ブリギッタ]清野友香莉 [ラウラ]郷家暁子 【7月19日(土)、21日(月・祝)公演】 [イオランタ]川越未晴 [ルネ]北川辰彦 [ヴォデモン伯爵]岸浪愛学 [ロベルト]菅原洋平 [エブン=ハキア]宮本益光 [アルメリック]濱松孝行 [ベルトラン]ジョン ハオ [マルタ]一條翠葉 [ブリギッタ]田崎美香 [ラウラ]川合ひとみ [指揮]マキシム・パスカル [演出]ロッテ・デ・ベア [振付]アンドレイ・カイダノフスキー [装置]カトリン・レア・ターク [衣裳]ジョリーン・ファン・ベーク [照明]アレックス・ブロック [演出補]フレデリック・バー [演出助手]彌六 [舞台監督]村田健輔 [技術監督]大平久美、村田健輔 [公演監督]永井和子 [公演監督補]高田正人 [バレエ]東京シティ・バレエ団 [管弦楽]東京フィルハーモニー交響楽団 |
プログラム |
ピョートル・チャイコフスキー:歌劇《イオランタ/くるみ割り人形》 ※新制作 全4幕〈ロシア語上演/日本語字幕付〉 予定公演時間:約2時間15分(休憩含む) |
チケット |
【7月19日(土)、20日(日)21日(月・祝)公演】 全席指定:S席22,000円 A席18,000円 B席14,000円 C席10,000円 D席6,000円 学生席2,000円 U-39席10,000円 【7月18日(金)公演】 ※プレミエ・スペシャル料金 全席指定:S席21,000円 A席17,000円 B席13,000円 C席10,000円 D席6,000円 学生席2,000円 U-39席10,000円 |
詳細 | こちらから |
お問い合わせ |
二期会チケットセンター TEL:03-3796-1831 |
公演名 | 【愛知公演】《東京二期会オペラ》 ピョートル・チャイコフスキー 作曲 イオランタ/くるみ割り人形 |
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日時 | 7月26日(土) 13:00開演(12:00開場) |
会場 | 愛知県芸術劇場 大ホール |
出演 |
[イオランタ]梶田真未 [ルネ]狩野賢一 [ヴォデモン伯爵]伊藤達人 [ロベルト]大川博 [エブン=ハキア]小林啓倫 [アルメリック]大槻孝志 [ベルトラン]水島正樹 [マルタ]小野綾香 [ブリギッタ]清野友香莉 [ラウラ]郷家暁子 [指揮]川瀬賢太郎 [演出]ロッテ・デ・ベア [振付]アンドレイ・カイダノフスキー [装置]カトリン・レア・ターク [衣裳]ジョリーン・ファン・ベーク [照明]アレックス・ブロック [演出補]フレデリック・バー [演出助手]彌六 [舞台監督]村田健輔 [技術監督]大平久美、村田健輔 [バレエ]東京シティ・バレエ団 [管弦楽]名古屋フィルハーモニー交響楽団 |
プログラム |
ピョートル・チャイコフスキー:歌劇《イオランタ/くるみ割り人形》 ※新制作 全4幕〈ロシア語上演/日本語字幕付〉 予定公演時間:約2時間15分(休憩含む) |
チケット | 全席指定:S席15,000円 A席12,000円 B席8,000円 C席5,000円 D席3,000円 学生席2,000円 U39席8,000円 |
詳細 | こちらから |
お問い合わせ |
二期会チケットセンター TEL:03-3796-1831 |
公演名 | 【大分公演】《東京二期会オペラ》 ピョートル・チャイコフスキー 作曲 イオランタ/くるみ割り人形 |
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日時 | 8月2日(土) 13:00開演(12:00開場) |
会場 | iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ |
出演 |
[イオランタ]梶田真未 [ルネ]狩野賢一 [ヴォデモン伯爵]伊藤達人 [ロベルト]大川博 [エブン=ハキア]小林啓倫 [アルメリック]大槻孝志 [ベルトラン]水島正樹 [マルタ]小野綾香 [ブリギッタ]清野友香莉 [ラウラ]郷家暁子 [指揮]川瀬賢太郎 [演出]ロッテ・デ・ベア [振付]アンドレイ・カイダノフスキー [装置]カトリン・レア・ターク [衣裳]ジョリーン・ファン・ベーク [照明]アレックス・ブロック [演出補]フレデリック・バー [演出助手]彌六 [舞台監督]村田健輔 [技術監督]大平久美、村田健輔 [バレエ]東京シティ・バレエ団 [管弦楽]名古屋フィルハーモニー交響楽団 |
プログラム |
ピョートル・チャイコフスキー:歌劇《イオランタ/くるみ割り人形》 ※新制作 全4幕〈ロシア語上演/日本語字幕付〉 予定公演時間:約2時間15分(休憩含む) |
チケット | 全席指定:GS席14,000円 S席12,000円 A席10,000円 B席8,000円 C席6,000円 D席4,000円 U25割(A~D席)半額 |
詳細 | こちらから |
お問い合わせ |
iichiko総合文化センター TEL:097-533-4004 |