
<7月21日 東京・サントリーホール> 1970年、ベートーヴェン生誕200周年記念コンクールで優勝して国際的な活動を開始したマリア・ジョアン・ピリスは、世界各地でのリサイタル開催やオーケストラとの共演により、世界中のピアノ・ファンを虜にしてきた。ソリストとしての活動だけでなく、オーギュスタン・デュメイやマティアス・ゲルネとのコラボレーションによる室内楽の分野でも高い評価を受けている。
1970年以降、ピリスは演奏家としてだけでなく、研究者、そして社会運動家ともいうべき活動を展開し、芸術や音楽が人間社会に与える影響を研究してきた。その成果は、1999年に母国ポルトガルに設立した「ベルガイシュ芸術研究センター」として結実した。ここでは、地球と人間が尊重しあい、すべての文化、環境、自然、生命を敬う気持ちを育むことを目的として、農村部の恵まれない環境の子どもたちのための合唱団「パルティトゥーラ合唱団」や「パルティトゥーラ・ワークショップ」といったプロジェクトが展開されている。
また、ピリスは後進の育成にも情熱をかたむけており、世界各地で多数の若手音楽家を指導してきた。日本では、2008年の8月から12月にかけて、NHK教育テレビ『スーパーピアノレッスン』の講師を務めたことでも知られている。2018年に演奏活動からの引退を発表したが、その後引退を撤回し、2022年には日本でもリサイタルを開催した。2024年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞している。
演奏活動再開後も演奏と解釈に磨きをかけ続けているピリスが本公演に選んだのは、ハイドンのピアノ・ソナタ第62番 変ホ長調、ドビュッシーの《ピアノのために》、そしてシューベルトの《4つの即興曲》だ。ハイドン、ドビュッシー、シューベルト。時代も様式も異なる3人の作曲家の作品が並ぶプログラムだが、シューベルトにとってハイドンは幼少期からその作品に親しんだ音楽界の大先輩であり、ドビュッシーは1909年にハイドン没後100年を記念した企画に参加して《ハイドンを讃えて》という作品を書いている。時代を飛び越える選曲を、ピリスがどう解釈して聴かせてくれるか楽しみだ。
<文・加藤新平>
公演名 | マリア・ジョアン・ピリス ピアノ・リサイタル 「平和の夕べ」コンサート |
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日時 | 7月21日(月・祝) 19:00開演(18:30開場) |
会場 |
サントリーホール 大ホール |
出演 | [ピアノ]マリア・ジョアン・ピリス |
プログラム |
ハイドン:ピアノ・ソナタ第62番 変ホ長調 Hob.XVI:52 ドビュッシー:ピアノのために シューベルト:4つの即興曲 Op.142, D935 |
チケット | 全席指定:S席13,000円 A席10,000円 B席7,000円 |
お問い合わせ |
チケットスペース TEL:03-3234-9999 |