
<6月19日 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール> その一音、パフォーマンスが聴衆をとらえて離さない古澤巌が率いる「品川カルテット」が、今年もびわ湖ホールを豊かな弦の響きで満たす。
あらためて紹介するまでもないが、ヴァイオリニスト古澤巖は、葉加瀬太郎との活動、東京都交響楽団のソロ・コンサートマスター、またヨーヨー・マ、ミハイル・プレトニョフ、ペーター・ダム、アサド兄弟、高橋悠治、ステファン・グラッペリ、フジコ・へミングといった著名アーティストらとの共演やテレビ出演など、幅広い活動を展開しているカリスマ的なヴァイオリニストである。そして「品川カルテット」は、その古澤が「このヴィオラと一緒に演奏したい」という思いを持ったTSUKEMENのヴァイオリニストTAIRIK(カルテットではヴィオラ担当)に、弦楽四重奏団のメンバー集めを依頼し、ヴァイオリニスト福田悠一郎、チェリスト髙木慶太とともに、2017年に結成した実力者ぞろいのカルテットだ。
今回演奏するのは、ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96《アメリカ》、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 Op.44-1のほか、「品川カルテット」のために毎年新曲を贈るイタリアの作曲家ロベルト・ディ・マリーノの、タンゴとクラシックの融合をテーマにした作品など。弦楽四重奏による正統派のクラシックと、観客を興奮と歓喜の渦に巻き込む演奏という、多層的な楽しみが待っている。
古澤の「ゆったりと音楽を聴いてほしい」という希望から、コロナ禍以前より、1800席ある大ホールを1席ずつ空けた配席の限定300席で設定していることも、心憎い配慮だ。反響板の設置で最弱音も豊かに響くホールで、細やかな音の揺らぎや、静寂の中から音が生まれる瞬間に酔いしれることもできるだろう。当日13:00から入場無料、事前申し込み不要のフリーコンサートがあることもうれしい。ここでウォーミングアップしてから本編に突入し、カルテットの妙味を楽しんでみてはいかがか。
<文・小畑智恵>
公演名 | TAIRIKプロデュース「古澤 巖の品川カルテット」 |
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日時 | 6月19日(木) 15:00開演(14:30開場)/19:00開演(18:30開場) |
会場 |
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール |
出演 |
【古澤 巖の品川カルテット】 [ヴァイオリン]古澤巖、福田悠一郎 [ヴィオラ]TAIRIK [チェロ]髙木慶太 |
プログラム |
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96《アメリカ》 ロベルト・ディ・マリーノ作品 メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 Op.44-1 ほか |
チケット | 全席指定:5,500円 |
お問い合わせ |
びわ湖ホールチケットセンター TEL:077-523-7136 |