<3月1日 栃木・宇都宮市文化会館> 2023年に第17回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門セミファイナリストおよび特別賞を受賞して世界にその名を轟かせ、日本のピアノ界の先頭を走り続けている黒岩航紀。バッハから現代音楽まで幅広いレパートリーを持ち、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、ロイヤルフィルハーモニックオーケストラなど、国内外の著名なオーケストラとも共演を重ねているほか、NHK-BS「クラシック倶楽部」、NHK-FM「ベスト・オブ・クラシック」をはじめ、メディア出演も多岐にわたる。
実は、彼は4歳~17歳までを宇都宮市で過ごしている。すなわち、本公演は黒岩の凱旋公演だ。
慣れ親しんだ宇都宮での公演に彼が選んだプログラムは、シャブリエの《5つの遺作集》より〈音楽帳の一頁〉、《10の絵画風小品》より〈スケルツォ・ワルツ〉、フォーレの組曲《ドリー》、ラヴェルの《シャブリエ風に》《ボロディン風に》《ラ・ヴァルス》、そしてムソルグスキーの《展覧会の絵》と、近代フランスとロシアの名曲が詰まった、まさに音楽の宝箱だ。
特にラヴェルの《ラ・ヴァルス》は、ピアノ曲をオーケストラ曲に編曲する技術に長けていたラヴェルが、あえてオーケストラ曲をピアノ曲に編曲した作品で、その華麗さと超絶技巧は聴き手を圧倒する。ムソルグスキーの《展覧会の絵》は、ラヴェルによるオーケストラ編曲版がよく知られている作品だが、ピアノ独奏曲版をぜひ聴いてみてほしい。ピアノ1台で、これほどまでに音量と音色の幅が出せるのか……! とおどろくことまちがいなし。本公演で演奏されるのは、骨太なムソルグスキーの作品に華麗な編曲を施したホロヴィッツ版。オーケストラに匹敵する圧倒的な表現力が魅力だ。
シャブリエの作品と、ラヴェルの《シャブリエ風に》をあえて両方ともプログラムに組み込むあたりも、黒岩のセンスが光る。宇都宮の、栃木の、いや北関東のピアノファン必聴の公演だ。
<文・加藤新平>
公演名 | 黒岩航紀 ピアノ・リサイタル |
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日時 | 3月1日(土) 15:00開演(14:30開場) |
会場 | 宇都宮市文化会館 小ホール |
出演 | [ピアノ]黒岩航紀 |
プログラム |
シャブリエ:《5つの遺作集》より〈音楽帳の一頁〉、《10の絵画風小品》より〈スケルツォ・ワルツ〉 フォーレ(コルトー編):組曲《ドリー》 Op.56 ラヴェル:シャブリエ風に、ボロディン風に、ラ・ヴァルス ムソルグスキー(ホロヴィッツ編):展覧会の絵 |
チケット | 全席指定:3,500円 |
お問い合わせ | 宇都宮市文化会館 TEL:028-636-2121 |