
<5月27日 東京・サントリーホール ほか> フランスの公共放送局「ラジオ・フランス」付属のオーケストラであるフランス放送フィルハーモニー管弦楽団は、1976年にフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団、フランス国立放送歌劇管弦楽団、フランス国立放送室内管弦楽団の3団体が統合される形で誕生した。統合後の初代音楽監督には、現代音楽の作曲家として知られるジルベール・アミが就任し、以後音楽監督ポストはマレク・ヤノフスキ、チョン・ミョンフン、ミッコ・フランクに受け継がれ、2026年からオランダ出身の指揮者ヤープ・ヴァン・ズヴェーテンが就任する。フランス音楽だけでなく、ヤノフスキ時代には、ワーグナーやブルックナーなどドイツ・オーストリア系の作曲家の作品の演奏プロジェクトで好評を博すなど幅広いレパートリーを持ち、また優秀なソリストを数多く擁しているのがフランス放送フィルハーモニー管弦楽団の特徴だ。
本ツアーにソリストとして登場するのは藤田真央。2019年にチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で第2位に輝いて以降、その活躍は目覚ましく、いまもっともチケットが取れないピアニストのひとりだ。
5月27日(水)の公演は、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番で始まる。行進曲風の第1楽章、叙情的で明るさと暗さが交錯する第2楽章、そして軽快に駆け抜ける第3楽章で構成されており、第2楽章は1967年のスウェーデン映画『短くも美しく燃え』に引用されたことで知られている。
プログラムのメインを飾るのは、ブルックナーの交響曲第7番。ブルックナーの特徴である弦楽器のトレモロの響きの中でチェロが奏し始める朗々とした第1主題は、作曲者が夢の中で友人に「この主題で幸運を掴んでください」と言って教えられたもの……という逸話がある。第2楽章ではブルックナーが敬愛したワーグナーへの葬送音楽が聴かれる。野性的なスケルツォである第3楽章を経て、主題の対比がみごとな第4楽章では、最後に第1楽章の第1主題が回帰する。ブルックナーにとって、初めての成功作となった作品だ。
5月28日(木)の公演は、ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》で幕を開ける。フルートの低音域やアンティークシンバルを活かした独特のサウンドで、ドビュッシーの出世作となった。ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番ニ短調は、第2番とともにラフマニノフの代表作に位置付けられる傑作。オーケストラとピアノが真正面から響き合うシンフォニックな協奏曲だ。
後半は、ドビュッシーの交響詩《海》と、ラヴェルの《ラ・ヴァルス》。《海》は構成に重きを置いた、ほとんど交響曲と言ってもよい作品だが、初版の楽譜の表紙デザインにドビュッシー自身が葛飾北斎の『冨嶽三十六景』のひとつ「神奈川沖浪裏」を選んだことで知られている。《ラ・ヴァルス》は、ヨハン・シュトラウス2世へのオマージュとして書かれた、ウィンナ・ワルツに対するラヴェルの敬意と憧れが詰まった名作。
日本のクラシック音楽ファンとしては、モーツァルトのピアノ協奏曲、そして交響曲に匹敵するほどシンフォニックなラフマニノフの協奏曲での、ズヴェーテン×フランス放送フィル×藤田真央の化学反応に大いに期待したい。ブルックナーと、ドビュッシーやラヴェルという、フランス放送フィルがレパートリーの核に据えているドイツ・オーストリア音楽とフランス音楽の両方に触れることができるのも楽しみだ。
<文・加藤新平>
| 公演名 | ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮 フランス放送フィルハーモニー管弦楽団 JAPAN TOUR 2026 |
|---|---|
| 日時・会場 |
●5月27日(水) 19:00開演(18:30開場) サントリーホール 大ホール 【プログラムA】 ●5月28日(木) 19:00開演(18:30開場) サントリーホール 大ホール 【プログラムB】 ●5月29日(金) 18:45開演(18:00開場) 愛知県芸術劇場 コンサートホール 【プログラムB】 ●5月30日(土) 15:00開演(13:00開場) 京都コンサートホール 【プログラムB】 ●5月31日(日) 15:00開演(14:15開場) 横浜みなとみらいホール 大ホール 【プログラムB】 |
| 出演 |
[指揮]ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン [ピアノ]藤田真央 [管弦楽]フランス放送フィルハーモニー管弦楽団 |
| プログラム |
【プログラムA】 モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467 ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 【プログラムB】 ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30 ドビュッシー:交響詩《海》 ラヴェル:ラ・ヴァルス |
| お問い合わせ |
カジモト・イープラス TEL:050-3185-6728 |



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