<2025年3月15日 東京文化会館> イタリア・オペラの世界では、絶対的な主役にふさわしい力をもつ男性歌手を「プリモ・ウォーモ」という。いわば歌手における「主人公キャラ」だ。
2023年のローマ歌劇場日本公演において、プッチーニ《トスカ》でカヴァラドッシをみごとに演じ好評を博したヴィットリオ・グリゴーロは、まさに現代のプリモ・ウォーモと呼ぶにふさわしい。イタリアのアレッツォで生まれ、少年時代からローマのシスティーナ礼拝堂合唱団でソリストを担当し頭角を現したヴィットリオ・グリゴーロは、23歳のときにミラノ・スカラ座でデビューを果たして以来、メトロポリタン・オペラ、ウィーン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、パリ・オペラ座などにおいて、ヴェルディの《椿姫》やグノーの《ファウスト》など、イタリア・オペラとフランス・オペラの両方で主役を務めてきた。ブライアン・メイやスティングなどとの、ジャンルを超えたコラボレーションも話題を呼んでいる。
本公演のプログラムは2部構成であり、第1部は「プッチーニに捧ぐ」と題して、歌劇《マノン・レスコー》の〈なんとすばらしい美人!〉や《トゥーランドット》の〈誰も寝てはならぬ〉など、プッチーニの珠玉の名曲を披露する。第2部は、まさにグリゴーロが得意とする、人間の暗い情念を生々しく表出する作風で一世を風靡した「ヴェリズモ・オペラ」の名曲がずらりと並ぶ。ジョルダーノの歌劇《アンドレア・シェニエ》より〈五月の晴れた日のように〉や、マスカーニの歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より〈母さん、あの酒は強いね〉、さらにヴェリズモ・オペラの頂点ともいうべきレオンカヴァッロの歌劇《道化師》より〈衣装をつけろ〉など、イタリア・オペラを愛する人にとってはまさに至高のひとときが約束されたプログラムだ。
世界的オペラ指揮者であるレオナルド・シーニが、本公演のタクトを執る。東京フィルハーモニー交響楽団の豊かな響きと、グリゴーロの美声を存分にご堪能あれ。
<文・加藤新平>
公演名 | ヴィットリオ・グリゴーロ テノール・コンサート 旬の名歌手シリーズ─ XII |
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日時 | 2025年3月15日(土) 15:00開演(14:20開場) |
会場 | 東京文化会館 大ホール |
出演 | [テノール]ヴィットリオ・グリゴーロ [指揮]レオナルド・シーニ [管弦楽]東京フィルハーモニー交響楽団 |
プログラム | 【第一部】<プッチーニに捧ぐ> プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》より〈なんとすばらしい美人!〉〈間奏曲〉、歌劇《外套》より〈お前の言うとおりだ〉、歌劇《修道女アンジェリカ》より〈間奏曲〉、歌劇《西部の娘》より〈やがて来る自由の日〉、歌劇《トゥーランドット》より〈泣くな、リュー〉〈誰も寝てはならぬ〉 ポンキエッリ:歌劇《ラ・ジョコンダ》より〈時の踊り〉 【第二部】<ヴェリズモ(真実主義)> チレア:歌劇《アドリアーナ・ルクヴルール》より〈私の心は疲れ〉 ジョルダーノ:歌劇《アンドレア・シェニエ》より〈ある日、青空を眺めて〉〈五月の晴れた日のように〉、歌劇《フェドーラ》より〈間奏曲〉 マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より〈間奏曲〉〈母さん、あの酒は強いね〉、歌劇《友人フリッツ》より〈間奏曲〉 プッチーニ:歌劇《妖精ヴィッリ》より第2の間奏曲〈夜の宴(妖精たちの踊り)〉 レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》より〈衣装をつけろ〉 |
チケット | 全席指定:S席24,000円 A席21,000円 B席18,000円 C席13,000円 D 席8,000円 U25シート4,000円 グリゴーロ・シート100,000円 |
お問い合わせ | NBSチケットセンター TEL:03-3791-8888(平日10:00~16:00) |