
<2026年2月7日 愛知県芸術劇場> 近代イタリア・オペラの巨匠、ジャコモ・プッチーニとピエトロ・マスカーニ。ともに圧倒的な旋律の美しさと、重厚なオーケストラの響きで、登場人物の心理を克明に描き出すことに長けている。プッチーニの《妖精ヴィッリ》と、マスカーニの《カヴァレリア・ルスティカーナ》の2本立てとなる本公演では、幻想世界に生きた女性と、生々しい現実を生きた女性の、一見対照的でありながらも共通性を持つ「痛み」が描かれる。
《妖精ヴィッリ》の舞台は南ドイツのシュヴァルツヴァルト(黒い森)。村の男グリエルモは、愛らしい娘アンナが自慢の種。「あなたが旅立った後に、私が死ぬという夢を見たの」というアンナの言葉を聴き入れず、親戚の遺産を相続するため旅に出てしまった婚約者ロベルトに、娘を亡くしたグリエルモと、婚約者に裏切られたアンナの魂が、妖精ヴィッリたちを呼び出して復讐する、という幻想的な復讐劇だ。第1幕でアンナが歌うロマンツァ〈もしも私がお前たちのように小さな花であったのなら〉や、第2幕のロベルトのアリア〈ここがあの家〉など、プッチーニらしい名旋律に満ちている。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》の舞台は19世紀後半のシチリア島。村の若者トゥリッドゥは、軍隊に行く前に恋仲であったローラへの思いを断ち切れぬまま、別の女性サントゥッツァと関係を持っている。ローラは馬車屋アルフィオの妻となっている。復活祭の祝祭的な雰囲気の中で、サントゥッツァによってローラとトゥリッドゥの不倫が暴かれる。そして、アルフィオとトゥリッドゥの決闘は悲劇的な結末を迎える。サントゥッツァが絶唱するアリア〈あなたもご存じです、お母さん〉、マスカーニの代表作に位置付けられる〈間奏曲〉、トゥリッドゥが母親のルチアに向け歌う〈かあさん、あの酒は強いね〉など、本作も聴きどころ満載だ。
三重県出身の伊藤晴が《妖精ヴィッリ》のアンナ役、愛知県出身の桜井万祐子が《カヴァレリア・ルスティカーナ》のサントゥッツァ役、名古屋芸術大学出身の笛田博昭がトゥリッドゥ役を務める。情熱的な音楽づくりで知られる柴田真郁の指揮、女性のたくましさを描き出す岩田達宗の演出にも要注目だ。
<文・加藤新平>
| 公演名 | 藤原歌劇団公演 プッチーニ作曲「妖精ヴィッリ」全2幕 マスカーニ作曲「カヴァレリア・ルスティカーナ」全1幕 |
|---|---|
| 日時 | 2026年2月7日(土) 14:00開演(13:00開場) |
| 会場 | 愛知県芸術劇場 大ホール |
| 出演 |
[公演監督]斉田正子 [指揮]柴田真郁 [演出]岩田達宗 【妖精ヴィッリ】 [アンナ]伊藤晴 [ロベルト]澤﨑一了 [グリエルモ]岡昭宏 [語り]豊嶋祐壹 【カヴァレリア・ルスティカーナ】 [サントゥッツァ]桜井万祐子 [トゥリッドゥ]笛田博昭 [ルチア]牧野真由美 [アルフィオ]井出壮志朗 [ローラ]丹呉由利子 [合唱]藤原歌劇団合唱部 [管弦楽]セントラル愛知交響楽団 [合唱指揮]安部克彦 [美術]松生紘子 [衣裳]下斗米大輔 [照明]大島祐夫 [舞台監督]菅原多敢弘 [副指揮]諸遊耕史、松村優吾 [演出助手]手塚優子 |
| プログラム |
ジャコモ・プッチーニ:歌劇《妖精ヴィッリ》 全2幕〈イタリア語上演/日本語字幕付〉 ピエトロ・マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》 全1幕〈イタリア語上演/日本語字幕付〉 予定公演時間:約3時間(休憩含む) |
| チケット | 全席指定:S席15,000円 A席12,000円 B席8,000円 C席5,000円 D席3,000円 |
| お問い合わせ |
日本オペラ振興会チケットセンター TEL:044-819-5550 |

















