
<11月13日 愛知県芸術劇場> 2021年、エリザベート王妃国際音楽コンクールで第3位入賞を果たし、これまでの受賞歴に大きな星を加えた務川慧悟。今もっとも期待と注目を集める若手ピアニストのひとりだ。バロックから現代曲まで、幅広いレパートリーを持ちながら、それぞれの時代、分野、作曲家への探求も深く、作品の精髄に迫る演奏に定評がある。
今回のリサイタルは「革新のベートーヴェン」というテーマを掲げ、その姿勢を強く打ち出しているようだ。古典派を代表する作曲家であり、難聴との格闘という創作活動から、厳格なイメージの強いベートーヴェンの音楽。しかし務川は「彼は音楽の中でさまざまな変革と挑戦を行った真の改革者」だという。たしかにベートーヴェンの創作期間はピアノという楽器の急激な発達期と重なり、彼はその特性を最大限に引き出す作品を創り続けた。有名な《月光》ソナタの響きは、その成果のひとつといえるだろう。また《第九》では、交響曲に声楽を取り入れるという大胆な試みをしている。
務川が選んだのは、そのピアノ・ソナタ第14番《月光》と第28番、そして最後のソナタ第32番。この3曲の間にロマン派前期を代表するシューマンと、現代音楽のラッヘンマンを挟み込んだ。ヴェートーベンの“革新”と、その後の革新との対比か、あるいは相似か?
務川の地元・愛知県で行われる今回の公演は、幼少期より慣れ親しんでいるという愛知県芸術劇場のコンサートホールが舞台だ。あこがれの舞台での初リサイタル、務川がどんな解釈を聴かせてくれるか、期待せずにはいられない。
<文・小出和明>
| 公演名 | 務川慧悟ピアノ・リサイタル2025~革新のベートーヴェン~ |
|---|---|
| 日時 | 11月13日(木) 18:45開演(18:00開場) |
| 会場 | 愛知県芸術劇場 コンサートホール |
| 出演 | [ピアノ]務川慧悟 |
| プログラム |
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番《月光》 嬰ハ短調 Op.27-2、ピアノ・ソナタ第28番 イ長調 Op.101、ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111 シューマン:花の曲 変ニ長調 Op.19 ラッヘンマン:子供の遊び(ピアノのための7つの小品) |
| チケット | 全席指定:S席6,000円 A席5,000円 |
| お問い合わせ |
東海テレビ放送 事業部 TEL:052-954-1107 |

















