
<11月7日 長野・八ヶ岳高原音楽堂> 2021年に開催されたショパン国際ピアノコンクールで第4位に入賞し注目を集めた小林愛実は、3歳でピアノを始め7歳でオーケストラと共演、そして9歳で国際デビュー、14歳でCDデビューを果たしており、幼少期からプロフェッショナルとして日本の音楽界の第一線を走り続けてきた、日本が世界に誇る若手ピアニストである。
17歳で第10回インディアナポリス国際ヴァイオリン。コンクール第2位受賞、同年ニューヨークで開催されたヤング・コンサート・アーティスツ・インターナショナル・オーディションで優勝を果たして、ニューヨークとワシントンでデビュー・リサイタルの舞台に立った外村理紗は、若くして世界的に注目を集めるヴァイオリニストだ。
いまもっとも波に乗るふたりの日本人演奏家が、今秋、八ヶ岳高原音楽堂に集う。プログラムはシューベルト、ブラームス、クララ・シューマン、そしてフランクと、ロマン派の王道ともいうべき作曲家たちの珠玉の名曲が並ぶ。
シューベルトの《華麗なるロンド》は、軽快さと力強さを兼ね備えた作品で、歌曲やピアノ曲とはまた違った表情を見せている。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番《雨の歌》は、第3楽章冒頭の主題がブラームス自身の手による歌曲《雨の歌》の転用であることが有名である。幻想的な第1楽章、民謡風の第2楽章、そして憂いを含んだ《雨の歌》に始まり美しく晴れてゆく第3楽章、いずれもブラームスの室内楽分野における技術の高さをうかがわせる。
クララ・シューマンの《3つのロマンス》は、作曲者33歳のときの作品で、叙情的な旋律と繊細な和声が特徴である。フランクのヴァイオリン・ソナタは、短い旋律を駆使して全曲に統一感を持たせる「循環形式」が用いられていることや、第4楽章でピアノをヴァイオリンが追いかける「カノン」が書かれていることで知られるが、そういった技術的な先入観を抜きにしても、変化に富んだ4つの楽章が織りなすドラマを存分に味わえるはずだ。
秋の日の午後、日本を代表する若手演奏家の夢の共演を八ヶ岳高原音楽堂で楽しんでみてはいかがだろうか。近年、日本の都市部は残暑が厳しく、11月上旬ごろまで「夏」が残っている感があるが、八ヶ岳には秋の風が吹いていることだろう。
<文・加藤新平>
公演名 | 小林愛実&外村理紗 デュオ・リサイタル |
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日時 | 11月7日(金) 15:00開演(14:30開場) |
会場 | 八ヶ岳高原音楽堂 |
出演 |
[ピアノ]小林愛実 [ヴァイオリン]外村理紗 |
プログラム |
シューベルト:華麗なるロンド ロ短調 Op.70 D895 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 Op.78《雨の歌》 クララ・シューマン:ピアノとヴァイオリンのための3つのロマンス Op.22 フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 |
チケット | 全席指定:9,500円 |
お問い合わせ |
八ヶ岳高原ロッジ TEL:0267-98-2131 |