
<11月16日 神奈川・横浜みなとみらいホール> 国際的に活躍したピアニストである故・山岡優子氏の提唱により、1982年にスタートした「横浜市招待国際ピアノ演奏会」。2010年の第20回公演より企画委員長を海老彰子氏が務め今日にいたっている。近年の出演者にも、三浦謙司(第42回)、務川慧悟(第41回)、小林愛実(第40回)、ケイト・リウ(第39回)、アレクサンダー・ガジェヴ(第38回)、そして藤田真央(第37回)と、国際的な活躍を続けるピアニストがずらりと並んでおり、この「横浜市招待国際ピアノ演奏会」への出演が、世界の名ピアニストにとってのステータスであることを示している。
第43回となる今回は、本事業初のタイからの招聘となるサン・ジッタカーン(2018年ジュネーヴ国際音楽コンクール第3位)、待望の初来日となるジャン=ポール・ガスパリアン(2014年ヨーロッパ・ピアノ・コンクール・ブレーメン優勝)、今年10月のショパン国際ピアノコンクール本大会出場予定のヨナス・アウミラー(第12回浜松国際ピアノコンクール第2位)、そして今年6月にCDデビューを果たした田所光之マルセル(2021年モントリオール国際音楽コンクールファイナリスト)の4名が出演する。
出演者の個性が詰まったプログラムも本公演の魅力だ。ジッタカーンはシューマンの作品から《アラベスク》ハ長調、《交響的練習曲》のふたつを選び、ガスパリアンはドビュッシーの《版画》とリストの《ヴェルディのオペラ「トロヴァトーレ」のミゼレレによる演奏会用パラフレーズ》の間に、アルメニアの作曲家アルノ・ババジャニアンの《6つの描写》を挟む特徴ある構成で臨む。アウミラーは秋のワルシャワを見据えてショパンの《幻想曲》、《3つのマズルカ》、《スケルツォ第3番》を、田所はリストの《超絶技巧練習曲》より第3番〈風景〉、第4番〈マゼッパ〉、第7番〈エロイカ〉、第8番〈荒野の狩〉、第12番〈雪かき〉の5曲と、《愛の夢 第1番》を披露する。
演奏者と客席の距離が親密な小ホールで開催されてきた本企画だが、今回は9年ぶりに大ホールでの開催となる。充実した音響を誇り国内外のアーティストに支持されている大ホールで、期待の若手ピアニストによる演奏を楽しめるとあって、多くのピアノ・ファンから注目を集めている。
本公演とあわせて、各種イベントも企画されている。11月13日(木)に、ホールが所在するクイーンズスクエア横浜内のイベントスペースで出演者を紹介するイベントが予定されており、11月15日(土)には、「ピアニストってどんな人?」と銘打った子どもたちとの交流会が開催される。また、公演当日の11月16日(日)には、ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチディレクターの古屋晋一氏を招き、「ピアノの学びの限界を突破する:脳と身体の関係から」と題したレクチャーが開催される。秋の横浜の風物詩ともいうべき、「横浜市招待国際ピアノ演奏会」を、ぜひ関連イベントとともにお楽しみいただきたい。
<文・加藤新平>
公演名 | 第43回横浜市招待国際ピアノ演奏会 |
---|---|
日時 | 11月16日(日) 15:00開演(14:20開場) |
会場 | 横浜みなとみらいホール 大ホール |
出演 | ピアノ:サン・ジッタカーン(タイ)、ジャン=ポール・ガスパリアン(フランス)、ヨナス・アウミラー(ドイツ)、田所光之マルセル(日本/フランス) |
プログラム |
●サン・ジッタカーン シューマン:アラベスク ハ長調 Op.18、交響的練習曲 Op.13 ●ジャン=ポール・ガスパリアン ドビュッシー:版画 ババジャニアン:6つの描写 リスト:ヴェルディのオペラ《トロヴァトーレ》のミゼレレによる演奏会用パラフレーズ S.433 R.266 ●ヨナス・アウミラー ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49、3つのマズルカ Op.56、スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 Op.39 ●田所光之マルセル リスト:《超絶技巧練習曲》 S.139 R.2b より 第3番〈風景〉S.139-3/第4番〈マゼッパ〉S.139-4/第7番〈エロイカ〉S.139-7/第8番〈荒野の狩〉S.139-8/第12番〈雪かき〉S.139-12 リスト:愛の夢 – 3つのノクターン 第1番 変イ長調 S.541-1 R.211 |
チケット |
全席指定:5,000円 65歳以上4,500円 大学生・障がい者手帳をお持ちの方2,500円 高校生以下2,000円 ※小学生~18歳以下は無料招待あり(限定枚数/詳細はホールWEBサイト) |
お問い合わせ |
横浜みなとみらいホールチケットセンター TEL:045-682-2000 |