
<9月15日 静岡・グランシップ 中ホール・大地> 1990年4月に鈴木雅明によって設立されたバッハ・コレギウム・ジャパンは、バロック音楽を専門とする日本の古楽器オーケストラであり、その意欲的な取り組みによって日本のみならず世界にその名を知られている。とりわけ、1995年からスタートした、J.S.バッハの教会カンタータの全曲録音シリーズは、バッハを愛する人々から高い支持を集めている。
本公演で取り上げるのは、J.S.バッハの《管弦楽組曲》だ。まだ「交響曲」というジャンルが確立されていなかった18世紀前半のドイツにおいては、舞曲を組み合わせた「管弦楽組曲」がオーケストラ曲の主要な位置を占めていた。バッハによる《管弦楽組曲》は、バッハがケーテンの宮廷楽長を務めていたころに作曲されたと考えられている。ただし、完成後もバッハ自身が度重なる編曲や改訂を行っており、最初に完成させた際の楽譜は失われているため、現在演奏されるバージョンの完成時期は明らかではない。また、ケーテンの宮廷楽団には無かったと思われるトランペットやティンパニを編成に含む楽曲があることも、ある種の「ミステリー」だ。おそらく後年の作曲者自身による編曲によって付加されたものであろう。
第1番 ハ長調 BWV1066は、オーボエ2本とファゴットに焦点を当てた合奏協奏曲風の作品。第2番 ロ短調 BWV1067は事実上のフルート協奏曲で、特に第5曲〈ポロネーズ〉が有名。第3番 BWV1068はトランペットとティンパニを含んでいるが、J.S.バッハの全作品の中でもっとも知られているといっても過言ではない第2曲〈エール〉は、弦楽器と通奏低音だけで演奏される。この〈エール〉をアウグスト・ウィルヘルミが編曲したものが、《G線上のアリア》である。そして第4番 BWV1069は、終曲が舞曲ではなく「歓喜」と名付けられている点で異色の作品である。
世界最高峰のバロック音楽演奏団体であるバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏で《管弦楽組曲》全曲を聴ける大きなチャンスだ。公演に先立ち、8月30日(土)には、鈴木雅明による事前レクチャーの開催も決定している。バロック音楽ファンのみなさま、ぜひレクチャーで予習の上、バッハの管弦楽作品の神髄に触れてほしい。
<文・加藤新平>
公演名 | 鈴木雅明指揮 バッハ・コレギウム・ジャパン J.S.バッハ:管弦楽組曲(全曲) |
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日時 | 9月15日(月・祝) 15:00開演(14:30開場) |
会場 | グランシップ 中ホール・大地 |
出演 |
[指揮]鈴木雅明 [管弦楽]バッハ・コレギウム・ジャパン |
プログラム |
J.S.バッハ:管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV1066、第2番 ロ短調 BWV1067、第3番 ニ長調 BWV1068、第4番 ニ長調 BWV1069 |
チケット | 全席指定:S席7,500円 A席6,500円 こども・学生1,000円 |
お問い合わせ |
グランシップチケットセンター TEL:054-289-9000 |