
<9月13日、15日 東京音楽大学 100周年記念ホール> イタリア・オペラ界を長年牽引してきた指揮者のリッカルド・ムーティが、才能ある世界中の若手音楽家に自らの経験を伝えるとともに、オペラ上演の複雑なプロセスについても理解を深めることを目的として、2015年にイタリアのラヴェンナで立ち上げたプロジェクトが、イタリア・オペラ・アカデミーだ。本プロジェクトに共鳴した「東京・春・音楽祭」により、2019年から東京で開催されている。これまでのイタリア・オペラ・アカデミー in 東京で取り上げられたのは、《リゴレット》、《マクベス》、《仮面舞踏会》、《アッティラ》と、すべてイタリア・オペラの最高峰に輝くジュゼッペ・ヴェルディの作品。第5回の東京開催でテーマに選ばれたのは、《シモン・ボッカネグラ》だ。
《シモン・ボッカネグラ》は1857年に初演された。台本はフランチェスコ・マリア・ピアーヴェが、そして1881年改訂版では作曲家のアリゴ・ボーイトが手掛けた。14世紀半ばのイタリア・ジェノヴァを舞台とする本作では、もとは私掠船の船長でジェノヴァ共和国の初代総督に担ぎ上げられたシモン・ボッカネグラと、シモンの生き別れの娘アメーリア、アメーリアの育ての親でシモンの政敵のヤーコポ・フィエスコ、アメーリアの恋人ガブリエーレ・アドルノ、シモンの腹心の部下パオロ・アルビアーニを軸に、シモンの若き日の許されざる恋、貴族と平民の対立と政争、そして命をかけた和平への道を描いた歴史と恋のドラマである。
9月2日(火)に開催される、ムーティによる《シモン・ボッカネグラ》の作品解説で本アカデミーは開幕する。そして6日間のリハーサルを経て、9月11日(木)にはアカデミー指揮受講生の指揮で、13日(土)、15日(月・祝)にはムーティの指揮で、《シモン・ボッカネグラ》を演奏会形式により上演する。11日(木)の公演では日本人キャスト、13日(土)と15日(月・祝)の公演では日本を含む世界各国のキャストにより上演される。
《シモン・ボッカネグラ》を、2種類のキャストで聴くことのできる機会はそうそうない。オペラ・ファンにとっては、多角的に本作を楽しむまたとない機会となろう。また、音楽の専門家を対象とした聴講生、専門家でない方を対象とした一般聴講生の募集も行われている。ムーティが次世代に伝えるオペラの神髄に触れてみてはいかかだろうか。
<文・加藤新平>
公演名 | リッカルド・ムーティ指揮《シモン・ボッカネグラ》(演奏会形式) |
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日時 |
9月13日(土) 15:00開演(14:30開場) 9月15日(月・祝) 19:00開演(18:30開場) |
会場 | 東京音楽大学 100周年記念ホール(池袋キャンパス A館) |
出演 |
[指揮]リッカルド・ムーティ [シモン・ボッカネグラ(バリトン)]ジョルジェ・ペテアン [アメーリア(マリア)(ソプラノ)]イヴォナ・ソボトカ [ヤコポ・フィエスコ(バス)]イルダール・アブドラザコフ [ガブリエーレ・アドルノ(テノール)]ピエロ・プレッティ [パオロ・アルビアーニ(バス・バリトン)]北川辰彦 [ピエトロ(バス)]片山将司 [隊長(テノール)]大槻孝志 [侍女(メゾ・ソプラノ)]小林紗季子 [管弦楽]東京春祭オーケストラ [合唱]東京オペラシンガーズ [合唱指揮]仲田淳也 |
プログラム |
ジュゼッペ・ヴェルディ:歌劇《シモン・ボッカネグラ》 プロローグ付 全3幕〈イタリア語上演/日本語字幕付〉 予定公演時間:約2時間50分(休憩含む) |
チケット | 全席指定:S席29,500円 A席22,000円 B席14,000円 U-25 3,500円 |
お問い合わせ |
イタリア・オペラ・アカデミー in 東京チケットデスク TEL:050-3498-1053 |