
<8月24日 東京・サントリーホール> 第73回日本音楽コンクールで第1位に輝き、2007年にサントリーホールをはじめ各地で行われたデビュー・リサイタルが完売となり、同時にCDデビューを果たした外山啓介は、真摯な演奏解釈がクラシック音楽ファンの支持を集めている。リサイタルと並行して積極的なCDリリースも展開し、2009年の『ラフマニノフ』と2013年の『展覧会の絵』、そして2021年の『《ワルトシュタイン》《悲愴》《熱情》~ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集』は、『レコード芸術』誌の特選盤に選出されている。
本公演で外山が掲げたテーマは、ズバリ「幻想(ファンタジー)」。言葉にすれば同じテーマであっても、作曲家ごとに性格が異なる作品が生み出されていることから見えてくる、クラシック音楽の奥深さを伝えてゆく。
モーツァルトの《幻想曲》ニ短調 K.397は、1782年、モーツァルトが作曲家として成功し、コンスタンツェとの結婚など私生活も充実していた時期に作曲された作品だが、実は結尾部分が未完のままになっており、さまざまな補筆完成版で演奏されている。
ベートーヴェンの《2つの幻想曲風ソナタ》とは、ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調 Op.27-1、第14番 嬰ハ短調 Op.27-2の2作である。第14番は《月光》の愛称で知られている一方、第13番は「ソナタ」と銘打ちながらソナタ形式の楽章がひとつもなく、しかも4つの楽章が続けて演奏されるという点が型破りである。
ショパンは「幻想」という語を冠した作品が多い。それは本公演のプログラムからも読み取れる。《幻想曲》へ短調 Op.49、《ノクターン》第5番 嬰へ長調 Op.15-2、《幻想即興曲》嬰ハ短調 Op.66、そして《幻想ポロネーズ》変イ長調 Op.61。いずれも言わずと知れた名曲だが、とりわけ「ポロネーズ」でありながら、「タンタタ、タ、タ、タ、タ」という、ポロネーズを象徴するあのリズムが前面に出てこない構成の《幻想ポロネーズ》は、ショパンのライフワークのひとつであったポロネーズの、ある種の到達点と言えよう。
ピアノ音楽の粋を集めた本公演は、令和7年度文化庁「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」の対象となっており、公演当日小学生~18歳以下の方の無料招待を実施する。ローソンチケットにて受付けがスタートしているので、お申し込みはお早めに!
<文・加藤新平>
公演名 | 外山啓介ピアノ・リサイタル「幻想」 ~モーツァルト、ベートーヴェン、そしてショパン~ |
---|---|
日時 | 8月24日(日) 14:00開演(13:15開場) |
会場 | サントリーホール 大ホール |
出演 | [ピアノ]外山啓介 |
プログラム |
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397 ベートーヴェン:2つの“幻想曲風ソナタ”~ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調 Op.27-1、ピアノ・ソナタ第14番《月光》嬰ハ短調 Op.27-2 ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49、ノクターン第5番 嬰へ長調 Op.15-2、幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66、幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61 |
チケット | 全席指定:S席5,000円 A席3,500円 |
お問い合わせ |
チケットスペース TEL:03-3234-9999 |