<文・日本フィルハーモニー交響楽団>
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かつて放送されたNHKの番組「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」を観ても分かる通り、自らの来し方や、音楽の歴史・価値について、多くのことを我々に教えてくれました。まさに「教授」の名に相応しい、また彼にしか成し得ない俯瞰的な見地からの仕事であり、偉大な業績です。
今回は坂本龍一作品から『箏とオーケストラのための協奏曲』、映画 『ラストエンペラー』より「The Last Emperor」、地中海のテーマ(1992年バルセロナ五輪開会式音楽)、そしてドビュッシーの《夜想曲》と 武満徹の組曲 《波の盆》より「フィナーレ」を演奏します。
クラシック音楽を学び、オーケストラも指揮した彼の作品を「クラシック」文脈の中で捉え直してみることで、その立ち位置と普遍的価値の理解により一層の深みをもたらすに違いありません。
日本の音楽をこよなく愛する日本フィル首席指揮者カーチュン・ウォンがタクトをとり、箏の遠藤千晶、80人規模の合唱に東京音楽大学、そしてピアニスト中野翔太の出演も決定したスペシャルな演奏会をどうぞお聴き逃しなく。
開演前の13:30~13:45には、監修の小沼純一によるプレトークも開催決定。「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」での共演などから見えた坂本龍一の素顔などもお話いただきます。
公演に寄せて 小沼純一(早稲田大学文学学術院教授、音楽・文芸批評家)
中心に据えられるのは、《ラストエンペラー》とともに、バルセロナ・オリンピック開幕のための《地中海のテーマ》と《箏とオーケストラのための協奏曲》、2つのオリジナルのオーケストラ作品。
《協奏曲》は2010年に関西圏と関東圏で演奏されていらい再演されていません。これらはまた、映像や物語に付随することなく、描写的なタイトルもなく、楽器の音そのものによって構築される、音・音楽と聴き手がじかに対面できる作品です。
ドビュッシーの生まれ変わりではないだろうか。そう坂本龍一青年はおもったそうです。《雲》のゆったりしたさま、時間の感覚は、音楽家のなかに生きつづけてきました。武満徹へは、若き日のアンビヴァレンツなおもいをこえ、いくつかの作品のテクスチュアへの愛着を隠しませんでした。
武満徹の映像とともにある音楽を、ドビュッシーとのつながりも考慮し、坂本龍一作品のあいだに配置する。プログラミングはそのようになっています。
ドビュッシーや武満徹の音楽を対照しながら、「オーケストラ」という媒体をとおしてあらわれてくる坂本龍一の顔貌にふれる―かならずや貴重な機会となるでしょう。
公演概要
2024年6月2日 (日)14:00 開演
東京芸術劇場
【出演】
指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]
箏:遠藤千晶*
ピアノ:中野翔太**
合唱:東京音楽大学***
【プログラム】
ドビュッシー:《夜想曲》***
坂本龍一:箏とオーケストラのための協奏曲*
坂本龍一:The Last Emperor (映画 『ラストエンペラー』より)
武満徹:組曲 《波の盆》より「フィナーレ」
坂本龍一:地中海のテーマ(1992年バルセロナ五輪開会式音楽)**,***
監修:小沼純一
【チケット】
好評発売中
S¥7,000 A¥5,500 B¥5,000 C¥4,000 Gs(65歳以上)¥4,000 Ys(25歳以下)¥1,500
Ys(ヤング・シート)、Gs(グランド・シート)はS席以外からお選びいただけます。