- 引用
- ドイツ・ベルリンに拠点を置き、世界中を駆けめぐりながらマリンバという楽器の新しい可能性を見出している出田りあさん。みずから「マイナーな楽器なので」とおっしゃるその胸の奥には、マリンバの音をもっと多くの人に聴いてもらいたいという、熱い熱い思いが込められています。
その多彩な表現力と華麗なマレットさばきで、聴衆を魅了し続けている出田さん。マリンバに出会い、魅了され、伝えていきたい音楽とは? 音楽との出会いから演奏する作品の選び方、初のアルバムリリースまで多くのお話をうかがいました。
「木琴やってみる?」でスタートしたマリンバ人生
今でもマリンバを始めた時のことはよく覚えています。父からの「木琴やってみる?」という言葉がきっかけでしたが、その時は木琴≠マリンバでした。子ども時代の自分は、両手を広げて届く、テーブルの上に置くような大きさの木琴をイメージして「する!」と返事をしたのですが、届いたのは今演奏しているのと変わらない大きさの楽器。当時の自分の身長と変わらず、目線と鍵盤の高さが同じのような状態でした。当然このままでは叩けないので、近所の大工さんに足台を作っていただきました。
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「みんなが楽しく歌える校歌になったらいいな」という思いが最初だったなと、このインタビューを受けながら思い出しました。
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- チェリストのミッシャ・マイスキー、ピアニストのリリー・マイスキーと
年に一度の大きなイベントで、ワンピースを着てオシャレして足を運びました。吹奏楽からはじまって、合唱があり、オーケストラの演奏もあって。その一連のプログラムが一番印象に残っています。
めずらしい楽器だからこそ
コンクールが終わったあとに審査員で来日していた先生のマスタークラスに参加する機会があり、そのときに出会ったのがエマニュエル・セジョルネ先生でした。これまで受けたマリンバのマスタークラスでは、マレットの握り方やバチの動かし方など演奏技術の話が中心だったのですが、先生のレッスンは違っていました。もちろんマリンバは演奏するのですが、音楽の伝え方の話が中心で、私はそこに共感して彼の元で学びたいと思い、渡仏することを決めました。マリンバの技術を学びに行くというよりも、ひとりの音楽家として自分が成長するために……。
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- 演出家のタバサ・マクファディン、ピアニストのユジャ・ワンと
ですから、このめずらしい楽器に興味を持ってもらうためには、クラシックの名曲を演奏することが重要だと思いました。ただ単に、マリンバで演奏するのではなく、オリジナルに極力近付けて音楽的に表現する。それができて、初めてこの楽器がみなさんの中に認められていくんだろうなと思ったので。
周りからはめずらしがられましたが、私にとってはいまでも大切にしていることです。音楽家である“出田りあ”が、マリンバを通して音楽を届けることを意識しています。
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- 平成音楽大学での指導
私はマリンバがソロ楽器として確立されるために、クラシック音楽を演奏してきましたが、それを続けても結局はクラシック音楽のファンの方々だけにしか届かないし、しかもめずらしい楽器でそれをやっているのは未来がないと思って。だからといってクラシックを演奏しなくなるわけではなく、クラシック音楽だけにとらわれず、自分の音楽を通して、クラシックとそれ以外のジャンルを聴く方が行き来してくだされば嬉しいなと思っています。
今はジャンルを広げたことに関してまったく何の抵抗もありませんし、むしろ周りの音楽家にも「私はジャンルの垣根を越えたい、ジャンルっていうものをなくしたい」と声を大にして伝えています。
初のアルバムリリースに込めた思いとは
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- ピアニストの松岡優明と
タイトルの「Sugaria」はSugar+Riaの造語なのですが、なぜSugarなのかはわかりません(笑)。きっと先生には思うところがあったのでしょうね。「こういう意味だよ」ということは一切言わず、私に想像させる部分を残すところが、フランスの先生らしいです。
この曲、もともとは大編成のオーケストラとマリンバのために書かれた曲で、あまり再演の機会に恵まれませんでした。今回のアルバム制作の際に、先生に許可をいただき、マリンバとピアノために自分でアレンジしました。オーケストラの原曲の良さを残しながらも、演奏しやすくなることで、マリンバ奏者の皆さんのレパートリーに加わってくれることを願っています。
共演したピアニスト松岡優明さんと私は、ロマンティックな曲を演奏する際、一歩引いたところから、じわじわ情熱を乗せて演奏するタイプです。そんなお互いを理解した演奏スタイルだからこそ、あの一番盛り上がるテーマの部分をあえて少し落ち着いた曲想にしています。無理をして演奏するのではなく、正直に素直に演奏できるようなそんなアレンジになっていると思います。
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- 指揮者のダニエル・バレンボイムと
昼の部では、マリンバ・ソロの演奏で、響きを身体で感じてもらえる楽曲を並べました。昔、ドイツの教会でひとりコンサートをしたことがあるのですが、そのときにマリンバの響きを活かせる残響空間がある場所ならば、お客さまを退屈させずマリンバ1台でも充分に響きに浸っていただけるんだなと感じました。日本でもソロでやってみようと思ったのはこれがきっかけです。
夜の部はピアニストの松岡さんとともに、さまざまなジャンルの楽しいプログラムを演奏します。会場のムジカーザは演奏エリアと客席の距離が近く、ソロもデュオもそれぞれの良さが伝えられ、マリンバの響きを存分に楽しんでいただけると思います。
今年はなんと、私の大好きなDreams Come True(ドリカムディスコ)とスピッツが同時に出演なさるという、うれしい偶然も重なっております!
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- 日比谷音楽祭 2024の実行委員長、亀田誠治氏と
コンサートを聴きに行くということを日常生活の一部としてとらえ、無理にお化粧したりハイヒールを履いたり、オシャレしなくてもいいと思います。ぜひ自分のための特別な時間にしてもらえればと思います。
今後やりたいと思うのは、音楽以外のアートとの融合や、違う楽器との共演も増やしていきたいですね。例えば日本の伝統音楽とのコラボレーションとか。マリンバの響きはこういった音楽ともすごく合うと思います。
<取材・文 鈴木智之>
インフォメーション
『Sugaria~シュガーリア』
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久石譲:海の見える街(映画『魔女の宅急便』より)
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
B.ウィーラン:リバーダンス
E.モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス
S.マイヤーズ:カヴァティーナ(映画『ディアハンター』より)
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
エリック・サミュ:シュガーリア(全3楽章)
久石譲:アシタカとサン(映画『もののけ姫』より)
※編曲:出田りあ
Album Release Live Streaming Concert アルバムリリース記念ライブ配信コンサート in Tokyo
- テーブル
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- 発売日
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- 2024年6月5日(水)リリース
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- 演奏
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- [マリンバ・アレンジ]出田りあ
[ピアノ]松岡優明
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- 詳細
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- WIST-2/3,300円(税込)
詳細はこちら
今後の出演情報
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- 公演名
- テーブル本文
- 出田りあ マリンバコンサート
昼の部 Resonance(レゾナンス) ~マリンバの響きと、ゆらぎに浸るコンサート~
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- 日時
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- 6月11日(火)、6月13日(木) 15:00開演(14:30開場)
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- 会場
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- MUSICASA
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- 出演
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- [マリンバ]出田りあ
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- プログラム
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- 映画「もののけ姫」より《アシタカとサン》
カヴァティーナ
ふるさと
荒城の月
バッハ:リュートのためのプレリュード
ほか
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- チケット
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- 全席自由:4,000円 昼夜通し券8,500円
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- お問い合わせ
- テーブル本文
- 株式会社ウィステリアプロジェクト
TEL:03-3200-3744
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- 詳細
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- 公演名
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- 出田りあ マリンバコンサート
夜の部 Joy (ジョイ) ~ジャンルを超えて楽しむコンサート~
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- 日時
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- 6月11日(火)、6月13日(木) 19:00開演(18:30開場)
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- 会場
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- MUSICASA
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- 出演
- テーブル本文
- [マリンバ]出田りあ
[ピアノ]松岡優明
- テーブル見出し
- プログラム
- テーブル本文
- シュガーリア
坂本龍一作品
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
キツツキ
愛の喜び、愛の悲しみ
バーンスタイン:キャンディード序曲
ほか
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- チケット
- テーブル本文
- 全席自由:5,000円 昼夜通し券8,500円
- テーブル見出し
- お問い合わせ
- テーブル本文
- 株式会社ウィステリアプロジェクト
TEL:03-3200-3744
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- ⽇⽐⾕⾳楽祭2024
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- 日時
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- 6月8日(土)、9日(日)
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- 会場
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- 日比谷公園
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- ⽇⽐⾕⾳楽祭2024公式サイト
革新をもたらす演奏技術
出田りあは、マリンバの奏法に新たな可能性をもたらした稀有なアーティストです。その繊細かつ心地よいゆらぎに満ちたトレモロは、打楽器に対する既成概念を根底から覆します。ジャンルを超えた多彩な表現力と、自由自在な演奏技術により、聴衆を魅了し続けています。
音楽の旅路:才能の発露
オーストリア・ウィーンに生まれ、2歳から熊本に住む。6歳から熊本の故郷でピアノとマリンバを始めた出田りあ。幼少期から見せた「聴いたら即弾ける」という特殊な才能と編曲の技術は、彼女の音楽人生の土台を築きました。18歳で音楽の更なる追求のためフランス・パリへと旅立ち、パリ国際コンセルヴァトワールで学び、第1回パリ国際マリンバコンクールで第1位を受賞するなど、その才能を国際的にも認められました。
世界を舞台に煌めく才能
出田りあは、ヨーロッパの名高い室内楽音楽祭への出演を果たし、世界各地でその演奏を披露しています。ビューゲンシュトック祭(スイス)、ローランゼック国際音楽祭(ドイツ)、ザグレブ国際音楽祭(クロアチア)など、名だたる音楽祭で演奏し、多くの著名アーティストと共演。日本国内でもギタリスト村治佳織との新しいデュオレパートリーを多く生み出し、マリンバとギターの響きを通じて新たな音楽の地平を切り拓いています。
国際的な舞台で輝く:共演者との出会いと絆
出田りあは、その音楽旅路の中で、世界的に著名な多くの音楽家たちと共演し、彼女の演奏技術と芸術性をさらに磨き上げてきました。これらの共演は、彼女の演奏が持つ幅広いアプローチと、異なる音楽ジャンルや文化を横断する能力を示しています。
共演してきたグローバルアーティストたち
エマニュエル・パユ(フルート奏者)、ポール・メイエ(クラリネット奏者)、アンドレアス・オッテンザマー(クラリネット奏者)、フランソワ・ルルー(オーボエ奏者)、エリック・ルサージュ(ピアニスト)、リリー・マイスキー(チェリスト)、小菅優(ピアニスト)、ガイ・ブラウンシュタイン(ヴァイオリニスト)、樫本大進(ヴァイオリニスト)、ナビル・シェハタ(コントラバス奏者)など、ジャンルを超えた多彩なアーティストと舞台を共にしてきました。
これらの共演を通じて、出田りあはマリンバという楽器の持つ魅力と可能性を、より広い音楽の世界へと拡げています。各国の音楽祭での演奏や、新しいデュオレパートリーの創出など、彼女の活動はマリンバをクラシック音楽の枠を超えた多様なジャンルへと導いています。
革新的なコラボレーションと委嘱作品
2012年からはミュンヘン室内オペラの専属アーティストとして、マリンバを含む室内オーケストラでの演奏で新たな表現を模索。また、エリック・サミュ、オハド・ベン・アリ、藤倉大らの作曲家とのコラボレーションで、多くの世界初演を行い、マリンバの可能性をさらに広げています。
音楽教育への貢献
出田りあは、平成音楽大学とロンドン芸術アカデミー(LPMAM)で客員教授を務め、後進の指導にも熱心です。彼女の経験豊かな知識と技術の伝達は、次世代の音楽家たちに大きな影響を与えています。
マリンバ奏者、出田りあは、その卓越した技術と革新的なアプローチで、世界中の音楽シーンに新たな風を吹き込んでいます。
マリンバという楽器の魅力を最大限に引き出し、聴衆に深い感動を与え続ける彼女の演奏は、まさに見逃せないものです。
音楽と文化の交差点であるベルリン在住、世界各地で活躍を続けています。