<2月28日 東京オペラシティコンサートホール> 1978年のチャイコフスキー国際音楽コンクールにおいて、ひとりの若者が金メダル・第1位に輝いた。
ミハイル・プレトニョフである。
ピアニストとしてはベートーヴェン、ショパン、スカルラッティなどに加えて、ラフマニノフ、スクリャービン、プロコフィエフなどロシア人作曲家の作品を得意とし、世界各国で目覚ましい活躍を続けてきた。その間、1990年にはロシアで初めての私設オーケストラ「ロシア・ナショナル管弦楽団」を設立し、指揮活動も本格化させ、フィルハーモニア管弦楽団など各地のオーケストラにも客演を重ねている。2006年に一度ピアニストを引退したが、2013年に復帰を果たし、以後ピアニスト、指揮者、作曲家として多角的に活躍している。
2023年、プレトニョフが日本公演の曲目に選んだ作品は、《24の前奏曲》。《24の前奏曲》といえば、ピアノの詩人ショパンの独奏曲の中でも、その凝縮され研ぎ澄まされた芸術性で最高傑作の呼び声も高い作品である……が、プレトニョフはそこで立ち止まるピアニストではない。
プログラムのもうひとつのメインは、スクリャービンの《24の前奏曲》である。ハ長調とイ短調を起点とし、「五度圏」を順にめぐってゆく構成はショパンに倣ったものであるが、ポリリズムや8分の15拍子、さらには変拍子など、特にリズム面で独創性を見せている、若き日のスクリャービンの集大成だ。
ショパンとスクリャービン。ピアノという楽器と《24の前奏曲》という形式を介して、プレトニョフのナビゲーションのもと、ふたりの天才が時代を超えて向かい合う。「調性」をめぐるふたつのドラマをじっくりと味わってほしい。
ミハイル・プレトニョフである。
ピアニストとしてはベートーヴェン、ショパン、スカルラッティなどに加えて、ラフマニノフ、スクリャービン、プロコフィエフなどロシア人作曲家の作品を得意とし、世界各国で目覚ましい活躍を続けてきた。その間、1990年にはロシアで初めての私設オーケストラ「ロシア・ナショナル管弦楽団」を設立し、指揮活動も本格化させ、フィルハーモニア管弦楽団など各地のオーケストラにも客演を重ねている。2006年に一度ピアニストを引退したが、2013年に復帰を果たし、以後ピアニスト、指揮者、作曲家として多角的に活躍している。
2023年、プレトニョフが日本公演の曲目に選んだ作品は、《24の前奏曲》。《24の前奏曲》といえば、ピアノの詩人ショパンの独奏曲の中でも、その凝縮され研ぎ澄まされた芸術性で最高傑作の呼び声も高い作品である……が、プレトニョフはそこで立ち止まるピアニストではない。
プログラムのもうひとつのメインは、スクリャービンの《24の前奏曲》である。ハ長調とイ短調を起点とし、「五度圏」を順にめぐってゆく構成はショパンに倣ったものであるが、ポリリズムや8分の15拍子、さらには変拍子など、特にリズム面で独創性を見せている、若き日のスクリャービンの集大成だ。
ショパンとスクリャービン。ピアノという楽器と《24の前奏曲》という形式を介して、プレトニョフのナビゲーションのもと、ふたりの天才が時代を超えて向かい合う。「調性」をめぐるふたつのドラマをじっくりと味わってほしい。
<文・住吉亜蘭>
公演名 | ミハイル・プレトニョフ ピアノ・リサイタル |
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日時 | 2月28日(火) 19:00開演(18:20開場) |
会場 | 東京オペラシティ コンサートホール |
出演 | [ピアノ]ミハイル・プレトニョフ |
プログラム | スクリャービン:24の前奏曲 Op.11 ショパン:24の前奏曲 Op.28 |
チケット | 全席指定:S席13,000円 A席11,000円 B席8,000円 C席完売 |
お問い合わせ | ジャパン・アーツぴあ TEL:0570-00-1212(10:00~16:00) |