PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)でパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番のソリストとして登場した五嶋龍を初めて聴いた時には、まさに神童ここに現れり、と衝撃を受けたことを覚えている。あれから早25年。ドキュメンタリー番組などでその成長を楽しみに見ておられた方も多いと思うが、今や押しも押されもせぬ一流のヴァイオリニストへと成長した姿とその演奏を楽しむことのできるツアーが11月~12月に全国13か所で予定されている。プログラムは映画「Fukushima50」のテーマ楽曲のほか、ブラームスのヴァイオリンソナタなど。ブラームスのヴァイオリンソナタは演奏者が年齢を重ねるほどその表現に厚みと深みが増し、何度聴いても(何度弾いても)その都度違った感覚を楽しめる作品である。今回は第3番を取り上げるということで、起承転結にとんだこの情熱的なソナタをどのように聴かせてくれるのかと期待が高まる。長年共演者を務めるマイケル・ドゥセクとの息の合ったアンサンブルも楽しみである。
「Project R “拉致被害者を忘れない。”」や「五嶋龍 “Excellence In Music”」など音楽にとどまらない幅広い活動と発信を続ける五嶋龍。世界中を巻きこんだコロナ禍を乗り越え、今後どのように進化していくのか、ますます目が離せない。(文・尾崎羽奈)
日時・会場 | KADOKAWA presents 五嶋龍 デビュー25周年リサイタル・ツアー 【北海道公演】 【福島公演】 【山形公演】 【沖縄公演】 【埼玉公演】 【山口公演】 【広島公演】 【静岡公演】 【山梨公演】 【岐阜公演】 【大阪公演】 【青森公演】 【東京公演】 |
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出演 | ヴァイオリン 五嶋 龍 ピアノ |
演目 | ドビュッシシー/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 岩代太郎/The F50 inspired by original motion picture “FUKUSHIMA 50” ブラームス/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第3番ニ短調Op.108 ほか ※曲目・曲順はやむを得ず変更となる場合があります。 |