コンクールについて
5年に1度ポーランドのワルシャワで開催されるショパン国際ピアノコンクール。若き日のマルタ・アルゲリッチ、マウリツィオ・ポリーニ、クリスチャン・ツィメルマンら、現代最高のピアニストたちもこのコンクールで世界にその才能を見出されてきました。また日本人も優勝者こそいないものの中村紘子をはじめ、内田光子、海老彰子、横山幸雄らが入賞しています。チャイコフスキーコンクールとエリザベート王妃国際音楽コンクールと並ぶ世界の三大コンクールですが、ショパンの作品だけで競われるこのショパンコンクールの出場者には、ショパンへの理解が何よりも求められます。ーー誰が美しくショパンを奏でることができるのか。そんな究極なまでの命題に対する決戦の場として、世界中から熱視線が送られるのです。
ショパンコンクールの創立は、1927年に遡ります。ポーランドの有名なピアニストであり、ワルシャワ音楽院の教授であったイェルツィ・ズラフレフがショパンを讃え、このコンクールをはじめました。以来、この催しは、5年毎に行われることになり、第3回の1937年までは順調に進んだものの、世界大戦のため閉鎖されてしまいます。しかし、戦後ショパン没後100年にあたる1949年にコンクールが復活しました。そして第5回目が1955年に開かれてからは5年ごとに行われ、1970年からは命日の前後に会期をおいて10月に開催されています。
新型コロナウイルスの世界的蔓延により、本来であれば2020年開催予定であった今回の第18回大会は、全ての演奏がリアルタイム配信されることも特徴です。ぜひお家で現地の空気を感じながらコンテスタントたちを応援してみてはいかがでしょうか?ただし、現地とは7時間の時差がありますのでお気をつけください。配信はアーカイブでも見ることができます。
◎現在開催中の第一次予選はからこちらからご覧いただけます。
大会スケジュール
2021年10月3日(日)~23日(土)
1次予選 2021年10月3日(日)~7日(木)
2次予選 2021年10月9日(土)~12日(火)
3次予選 2021年10月14日(木)~16日(土)
ファイナル 2021年10月18日(月)~20日(水)
※2021年10月21日(木)~10月23日(土)受賞者コンサート
予備予選について
この本選までに、7月12日から23日まで予備予選が行われました。今回の出場者たちはこの予選を勝ち抜いた精鋭たちなのです*。予備予選には世界から162人(日本勢31人)のピアニストが参加し、その中から16の国と地域から87人(日本勢14人)が本選へと駒を進めました。
*一部国際コンクールの受賞歴によって予備予選免除者もいます。
◎予備予選の演奏はこちらからご覧いただけます。
これまでのコンクール優勝・入賞者
1927年に行われた第1回大会から、2015年に行われた第17回大会までの優勝者および入賞者をご紹介します。ピアニスト、出身地などを見比べてみるのも面白いでしょう。
1927年 第1回
第1位 レフ・オボーリン Lev Oborin(ソ連)
第2位 スタニスワフ・シュピナルスキ Stanisław Szpinalski(ポーランド)
第3位 ローザ・エトキン Róża Etkin(ポーランド)
第4位 グリゴリー・ギンズブルク Grigory Ginzburg(ソ連)
1932年 第2回
第1位 アレクサンドル・ウニンスキー Alexander Uninsky(国籍不詳)
第2位 イムレ・ウンガール Imré Ungár(ハンガリー)
第3位 ボレスワフ・コン Bolesław Kon(ポーランド)
1937年 第3回
第1位 ヤコフ・ザーク Yakov Zak(ソ連)
第2位 ローザ・タマルキナ Roza Tamarkina(ソ連)
第3位 ヴィトルト・マウツジンスキ Witold Małcużyński(ポーランド)
第8位 ヤン・エキエル Jan Ekier(ポーランド)
1949年 第4回
第1位 ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ Halina Czerny-Stefańska(ポーランド)
第1位 ベラ・ダヴィドヴィチ Bella Davidovich(ソ連)
第2位 ローザ・タマルキナ Roza Tamarkina(ソ連)
第3位 ヴィトルト・マウツジンスキ Witold Małcużyński(ポーランド)
1955年 第5回
第1位 アダム・ハラシェヴィチ Adam Harasiewicz(ポーランド)
第2位 ウラディーミル・アシュケナージ Vladimir Ashkenazy(ソ連)
第3位 フー・ツォン Fou Ts’Ong(中国)
第10位 田中希代子 Kiyoko Tanaka(日本)
1960年 第6回
第1位 マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini(イタリア)
第2位 イリーナ・ザリツカヤ Irina Zaritskaya(ソ連)
第3位 タニア・アショット=ハロウトウニアン Tania Achot-Haroutounian(イラン)
1965年 第7回
第1位 マルタ・アルゲリッチ Martha Argerich(アルゼンチン)
第2位 アルトゥール・モレイラ・リマ Arthur Moreira Lima(ブラジル)
第3位 マルタ・ソシンスカ Marta Sosińska(ポーランド)
第4位 中村紘子 Hiroko Nakamura(日本)
1970年 第8回
第1位 ギャリック・オールソン Garrick Ohlsson(アメリカ)
第2位 内田光子 Mitsuko Uchida(日本)
第3位 ピオトル・パレチニ Piotr Paleczny(ポーランド)
第6位 ヤノシュ・オレイニチャク Janusz Olejniczak(ポーランド)
1975年 第9回
第1位 クリスチャン・ツィメルマン Krystian Zimerman(ポーランド)
第2位 ディーナ・ヨッフェ Dina Yoffe(ソ連)
第3位 タチアナ・フェドキナ Tatiana Fedkina(ソ連)
第4位 パーヴェル・ギリロフ Pavel Gililov(ソ連)
1980年 第10回
第1位 ダン・タイ・ソン Dang Thai Son(ベトナム)
第2位 タチアナ・シェバノワ Tatiana Shebanova(ソ連)
第3位 アルチュン・パパジアン Arutyun Papazyan(ソ連)
第5位 海老彰子 Akiko Ebi(日本)
第5位 エヴァ・ポブウォツカ Ewa Pobłocka(ポーランド)
1985年 第11回
第1位 スタニスラフ・ブーニン Stanislav Bunin(ソ連)
第2位 マルク・ラフォレ Marc Laforêt(フランス)
第3位 クシシュトフ・ヤブウォンスキ Krzysztof Jabłoński(ポーランド)
第4位 小山実稚恵 Michie Koyama(日本)
第5位 ジャン=マルク・ルイサダ Jean-Marc Luisada(フランス)
1990年 第12回
第1位 該当者なし
第2位 ケヴィン・ケナー Kevin Kenner(アメリカ)
第3位 横山幸雄 Yukio Yokoyama(日本)
第5位 高橋多佳子 Takako Takahashi(日本)
1995年 第13回
第1位 該当者なし
第2位 フィリップ・ジュジアーノ Philippe Giusiano(フランス)
第2位 アレクセイ・スルタノフ Alexei Sultanov(ロシア)
第3位 ガブリエラ・モンテーロ Gabriela Montero(アメリカ)
第5位 宮谷理香 Rika Miyatani(日本)
2000年 第14回
第1位 ユンディ・リ Yundi Li(中国)
第2位 イングリット・フリッター Ingrid Fliter(アルゼンチン)
第3位 アレクサンダー・コブリン Alexander Kobrin(ロシア)
第6位 佐藤美香 Mika Sato(日本)
2005年 第15回
第1位 ラファウ・ブレハッチ Rafał Blechacz(ポーランド)
第2位 該当者なし
第3位 イム・ドンヒョク Dong Hyek Lim(韓国)
第3位 イム・ドンミン Dong Min Lim(韓国)
第4位 関本昌平 Shohei Sekimoto(日本)
第4位 山本貴志 Takashi Yamamoto(日本)
2010年 第16回
第1位 ユリアンナ・アヴデーエワ Yulianna Avdeeva(ロシア)
第2位 ルーカス・ゲニューシャス Lukas Geniušas(ロシア/リトアニア)
第2位 インゴルフ・ヴンダー Ingolf Wunder(オーストリア)
第3位 ダニール・トリフォノフ Daniil Trifonov(ロシア)
2015年 第17回
第1位 チョ・ソンジン Seong-Jin Cho(韓国)
第2位 シャルル・リシャール=アムラン Charles Richard-Hamelin(カナダ)
第3位 ケイト・リウ Kate Liu(シンガポール)