東京二期会オペラ劇場 ビゼー「カルメン」〈新制作〉

＜2025年2月20日～24日　東京文化会館＞　ジョルジュ・ビゼーのオペラ《カルメン》といえば、オペラ・ファンのみならず多くの人が知る名作だ。オペラにあまり詳しくない……という人でも〈前奏曲〉〈闘牛士の歌〉〈ハバネラ〉などは耳にしたことがあるのではないだろうか。
　スペインのセビリアを舞台に、ロマの女工カルメンが衛兵伍長のドン・ホセの気を引こうと花を投げつけたことから始まる愛と憎しみのドラマは、初演以来多くの人を魅了してきた。ドン・ホセはカルメンに誘惑され、ついには喧嘩騒ぎを起こしたカルメンを逃がした罪で投獄される。釈放されたドン・ホセは婚約者のミカエラを捨ててカルメンのもとを訪ねてゆき、彼女の誘いで密輸団に加わる。しかしカルメンの心はすでに闘牛士エスカミーリョに移っていたことから、物語は一気に悲劇的な結末へと突き進んでいく。
　東京二期会が2025年の演目に選んだのは、まさに、その《カルメン》だ。カルメン役に加藤のぞみ、和田朝妃、ドン・ホセ役に城宏憲、古橋郷平、エスカミーリョ役に今井俊輔、与那城敬、そしてミカエラ役に宮地江奈、七澤結を配した、東京二期会の誇る実力派が並ぶキャスティングで、ビゼーの傑作に新たな命を吹き込む。
　2018年に第18回東京国際音楽コンクール〈指揮〉にて女性として初めて第1位に輝き、2019年には第56回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝を果たした沖澤のどかが、本公演のタクトを執る。本公演の演出・衣装はヨーロッパを代表する演出家イリーナ・ブルックが手掛ける。
　指揮者、演出家ともに女性が起用されるのは、東京二期会の公演としては初めてのこと。二期会の歴史に新たな1ページが刻まれる。オペラ・ファン必聴の公演となることまちがいなし。

＜文・加藤新平＞

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