<12月21日 鹿児島・宝山ホール> 日本を代表する若手の実力派が、この冬、鹿児島に集う。3人に共通するキーワードはずばり「エリザベート王妃国際音楽コンクール」かもしれない。
ヴァイオリニストの成田達輝は、2010年のロン=ティボー国際コンクールで第2位、SASEM著作権協会賞を受賞して頭角を現した。2012年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで第2位およびイザイ賞、2013年の仙台国際音楽コンクールで第2位に輝き、確かな技巧と美しい音で、「パガニーニの再来」とフランスの新聞に評される逸材だ。近年では現代音楽の作曲家とのコラボレーションにも定評がある。
チェリストの岡本侑也は、2017年にエリザベート王妃国際音楽コンクールで第2位受賞を果たして一躍国際的にその名を知られるようになった。2019年以降は、クリスチャン・ツィメルマンとヨーロッパ各地で共演を重ねるほか、2024年春からは、世界的な弦楽四重奏団のひとつ「エベーヌ弦楽四重奏団」の正団員としても活躍している。
ピアニストの阪田知樹は、第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにおいて弱冠19歳で最年少入賞を果たし、キッシンゲン国際ピアノオリンピックでは日本人初の第1位に輝いた。2016年にフランツ・リスト国際ピアノ・コンクールで第1位と6つの特別賞、2021年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールで第4位に入賞と、世界の最高峰ともいうべきコンクールで数々の成果を挙げている。
本公演では、阪田が自ら編曲したフォーレの《二つのメロディー》や、旋律の美しさで器楽曲としても演奏される機会の多い歌曲《夢のあとに》、さらにはラヴェルのピアノ三重奏曲イ短調などが披露される。「響きの美しさ」を意識した選曲から期待できるのは、まさしく、極上のハーモニーだ。
世代を超えて、洗練された音楽を幅広く楽しむことを主眼においた本企画では、鹿児島県内の小学生~高校生を無料招待する「アップルシート」が用意されていることも大きな魅力だ。
<文・加藤新平>