<10月4日〜6日 仙台市内各所> 杜の都・仙台が音楽にあふれる3日間が、今年もやってくる。フルオーケストラあり、室内楽あり、ブラスあり、さらにはここだけのコラボあり! という多彩なラインナップは、まさに「フェスティバル」だ。
毎年秋に開催されている仙台クラシックフェスティバルは、仙台市市民文化事業団の設立20周年記念イベントとして、2006年10月の3連休に産声をあげた。仙台にはプロのオーケストラがあり、世界中の若き精鋭が集まる仙台国際音楽コンクールが3年に1度開催され、さらにはオペラや合唱を愛する多くの音楽団体があるという、クラシック音楽に親しむ土壌がある。「誰でも気軽に楽しめる音楽フェスティバル」というコンセプトでプログラムが組まれ、いまや仙台の秋を彩る風物詩となっていることに、地域の豊かさを感じる。
18回目を迎えた今年は3日間で80もの公演プログラムが並び、いずれも45〜60分という聴きやすい長さ、時間帯も朝から夜までというバリエーションに富んでいる。仙台銀行ホール イズミティ21が再オープンしたことで、仙台が誇る3つのコンサートホールの差異を体験できるのも貴重な機会だ。
新進気鋭のチェロ奏者 佐藤晴真がリゲティ、バッハ、クラムの無伴奏チェロソナタを聴かせるリサイタルや、山下洋輔(ピアノ)、三浦一馬(バンドネオン)、上野耕平(サクソフォン)、高橋優介(ピアノ)による「スペシャル・ガラコンサート」など、好きなアーティストを追いかけたり新登場のアーティストを選んだり、聴いたことがないジャンルを覗き見るのも楽しいだろう。「聴いてみたいけど、たくさんありすぎて選べない!」という密やかな街の声に応えるべく、公式サイトに「オススメはしごコース」が紹介されているのも、“クラシックの敷居”をググッと下げる心優しい演出といえる。
フェスティバルのラストを飾るコンサート、せんくらに5年ぶりに響く「第九」に期待を寄せるファンは多いのでは。第1回仙台国際音楽コンクール優勝者のジュゼッペ・アンダローロによるピアノ協奏曲に加え、森谷真理 (ソプラノ)、山下牧子(メゾソプラノ)、山本耕平(テノール)、大西宇宙(バリトン)という豪華な歌手陣を、せんくら合唱団と、太田弦がタクトを振る仙台フィルハーモニー管弦楽団が作り上げる「歓喜の歌」は大いに盛り上がることだろう。
0歳児から入場可能な公演や、「 “おとな”も“こども”もみんなあつまれ!オーケストラコンサート!!」など子ども向けプログラムも充実しており、ご家族で音楽を楽しめる素敵なチャンスでもある。まずは公式サイトでお好みのコンサートを選び、音楽にあふれる秋を楽しみながら、心の栄養を膨らませてみては。
<文・小畑智恵>