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- NHK Eテレの人気番組「ららら♪クラシック」で紹介された名曲の数々を、今度は生演奏でお届けするという考えでスタートするこのコンサート、その第1回がサントリーホールで開催されました。プログラムは「ヴァイオリンの名曲特集」、チケットは完売でした。
「ららら♪クラシックコンサート Vol.1」ヴァイオリン名曲特集 2018年2月3日(土) 14時開演 サントリーホール 大ホール
オープニングは、イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ全曲集が「レコード芸術」特選盤に選出されたことでも注目されている松田理奈さん。20世紀を代表する天才ヴァイオリニスト、クライスラーの名曲選「テンポ・ディ・メヌエット」「愛の悲しみ」「前奏曲とアレグロ」の3曲を披露。柔らかな弓使い、純度の高い音色の演奏に引き込まれました。
続く辻彩奈さんは、新成人になられたばかりの今回の出演者では最年少ながら、落ち着いて堂々とした演奏で作曲家フランクの「ヴァイオリンソナタ イ長調」の第3, 第4楽章を披露してくれました。音楽専門誌による好きなヴァイオリン独奏曲ランキング第1位のこの名曲を色彩感豊かに表現。3楽章は「幻想的叙唱」。題名の通り、辻さんの演奏からは大地を踏みしめ喜びがふつふつと沸き起こるようなエネルギーと、想像の世界が広がりました。
続いて成田達輝さん。名器ストラディヴァリウス1711年製“Tartini”で、難曲のパガニーニ「24のカプリース」第24番を、高速パッセージや左手の指で弦をはじく特殊なピチカートなど妙技で演奏。高橋克典さんとのトークでは、成田さんのマイブームは占星術だとか。作曲家と演奏家の生まれた星座の相性が良いと演奏もより豊かなになる事もあるそうです。「占いによると本日の演奏メンバーの相性はバッチリだった」との話に会場からは笑い声が。
テレビ番組やCMと幅広く活躍されている宮本笑里さんは、やさしさに満ち溢れた甘く滑らかな旋律のエルガーの「愛のあいさつ」とモンティの「チャールダーシュ」を熱演。演奏後のトークでは、世界的オーボエ奏者だった父・文昭さんとの思い出を披露。真剣にヴァイオリンに向き合い始めた中学時代からは師匠と弟子の関係へ変貌したのだそうです。「私が一音出しただけで、『テンポが違う!』と怒って、メトロノームを耳のそばまで近づけてきて…」とスパルタ生活に突入。当時のヴァイオリンには涙の跡が残っているとか。
最後に登場したのは、2001年サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクール優勝、2002年のチャイコフスキー国際コンクール最高位入賞など、華麗な履歴の川久保賜紀さん。今年は日本デビュー20周年の記念の年となるそうです。演奏曲は、ベートーヴェンの「春のソナタ」。爽やかな旋律はまさに「春」を思わせ、続くサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」で大喝采となりました。。
アンコールは、共演者5人全員でブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」を演奏。フレーズを受け渡しながら進行し、それぞれの持ち味を披露。終盤は5人で合奏して、華やかにフィニッシュ!贅沢なヴァイオリン演奏のフルコースに大満足のコンサートとなりました。
次回は、6月5日火曜19時から、上野の東京文化会館大ホールで「ショパン名曲特集」です。世界で活躍する若手ピア二ストの競演!見逃せないコンサートです。