
<10月1日 東京・Hakuju Hall> 都会の真ん中に広がる緑豊かな空間、代々木公園。そこからほど近い場所にあるHakuju Hallの名物企画「プラチナ・コンサート・シリーズ」が第24回の開催を迎える。アーティストが「いま、一番届けたい曲」をセレクトするというコンセプトの本シリーズでは、多くのクラシック・ファンを唸らせる、ふだんなかなか聴けない作品との出会いがこれまでも実現してきた。
本公演で、チェリストの伊藤悠貴とピアニストの福間洸太朗が選び抜いたのは、ミャスコフスキーとプロコフィエフだ。プロコフィエフは、我が国においてもよく知られているが、ミャスコフスキーの名を知っている人は、相当なクラシック・ファン、いや、マニアだろう。
ニコライ・ミャスコフスキー。交響曲を27曲も書いたことで知られているが、彼の音楽人生のスタートはかなり遅かった。幼少期から音楽の道を夢見ていた彼が、待望のペテルブルク音楽院に入学できたのは、25歳のとき。なぜならば、軍人の家庭に生まれた彼は、軍務をまず終えることが求められていたのである。晴れて音楽院に入学したミャスコフスキーは、10歳年下のプロコフィエフと友人になった。そのきっかけは、作曲の教授アナトリー・リャードフへの嫌悪感という共通項だったという。ふたりはすっかり意気投合し、交響曲の合作を試みるなど、音楽を通して親しく交流した。本公演で披露されるプロコフィエフのピアノ・ソナタ第4番《古い手帳から》の第2楽章は、ミャスコフスキーと合作しようとした交響曲の緩徐楽章がもとになっているといわれており、文字通り「古い手帳」から拾い上げた楽想である。
ミャスコフスキーの作品からは、《チェロとピアノのためのソナタ》第1番、第2番をピックアップ。チェロが優しく歌いだす第1番、哀愁漂う第2番、どちらも我々日本人の琴線に触れる美しい旋律に満ちている。プロコフィエフの作品からは、先述の《古い手帳から》に加えて、《独奏チェロのためのソナタ》と《チェロとピアノのためのソナタ》をセレクト。《チェロとピアノのためのソナタ》は、1947年から作曲が開始された。朗々とした旋律美と諧謔性のバランスに富んだ透明感のある作品である。ちなみに、本作はムスティスラフ・ロストロポーヴィチのために書かれた。一方で《独奏チェロのためのソナタ》(無伴奏チェロ・ソナタ)は、プロコフィエフの死によって未完のままとなっていた作品を、1972年にウラディーミル・ブロクが単一楽章の小品として補筆完成したものである。本作もロストロポーヴィチのために書かれただけでなく、第2主題の一部分はロストロポーヴィチが作曲したものとも伝えられている。
ミャスコフスキーとプロコフィエフ、偶然巡り合った10歳年の離れたふたりの作曲家が遺した作品を、チェロとピアノの美音とともに味わってほしい。
<文・加藤新平>
| 公演名 | 伊藤悠貴&福間洸太朗 デュオ・リサイタル |
|---|---|
| 日時 | 10月1日(木) 19:00開演(18:30開場) |
| 会場 | Hakuju Hall |
| 出演 |
[チェロ]伊藤悠貴 [ピアノ]福間洸太朗 |
| プログラム |
ミャスコフスキー:チェロとピアノのためのソナタ第1番 Op.12、第2番 Op.81 プロコフィエフ:独奏チェロのためのソナタ Op.134、ピアノ・ソナタ第4番 Op.29《古い手帳から》より第2楽章、チェロとピアノのためのソナタOp.119 |
| チケット | 全席指定:5,000円 |
| お問い合わせ |
ジャパン・アーツぴあ TEL:0570-00-1212 |
















