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ららら♪クラシックコンサート Vol.10 リポート

ららら♪クラシックコンサート Vol.10 リポート
2022年5月4日、5日、東京文化会館にて≪ららら♪クラシックコンサート Vol.10「ミュージカル特集」〜ミュージカル界の巨匠たち〜≫が開催されました。2021年5月に予定されていたコンサートの中止から1年、Vol.6に続く「ミュージカル特集」は両日チケット完売を記録。まさに待望の開催でした。 ミュージカル界の巨匠たちが生み出した名曲の数々を新妻聖子さん、中川晃教さん、ソニンさん、佐藤隆紀(LE VELVETS)さん、咲妃みゆさんという実力派スターと三ツ橋敬子さんの指揮、読売日本交響楽団の共演で届けるコンサートは、その余韻までも愛おしくなる素晴らしい時間となりました。(出演を予定しておりました上原理生さんは出演取りやめとなり、代わって佐藤隆紀さんが出演されました)
オーバーチュアはリチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン2世による『サウンド・オブ・ミュージック』の楽曲をメドレーで。三ツ橋さんの指揮で奏でられる音楽がこれから始まる夢の時間へエスコートしてくれました。 続いては出演者全員でレナード・バーンスタインの『ウエスト・サイド・ストーリー』より「Somewhere」。1950年代のニューヨークを舞台にルーツの異なる若者グループの対立を描く作品の中で、諍いのない世界を希求する楽曲。その崇高な響き、祈りは誕生から65年を経た今も私たちの胸を打ちます。 ここで司会の金子奈緒さんが登場。これまでに演奏された楽曲の位置づけを尋ねられた新妻さんは「今、お聴きいただいた2作品。ロジャース&ハマースタインとバーンスタインは1950年代、ミュージカル黎明期に数々の名作を生み出した巨匠。クラシックで言えばバッハのような“ミュージカル音楽の父”たちです。『ウエスト・サイド・ストーリー』はスティーヴン・スピルバーグ監督による映画リメイクも話題ですね」との流暢な説明に加え、「私、今日、早口ですね!」とセルフ突っ込みも忘れない。これには金子さんからも思わず「先生……」という言葉がこぼれました。 続いてはロンドン・ミュージカルを代表する作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの代表作、ガストン・ルルーの小説をベースにした『オペラ座の怪人』とT・S・エリオットの詩集をベースにした『キャッツ』より2曲。ファントムが歌姫クリスティーヌを思い歌う「Music Of The Night」を歌ったのは、当初出演予定だった上原理生さんに代わりご出演された佐藤さん。その深く豊かな歌声の素晴らしさだけでなく、「理生くんから託された思いとともに歌います」との言葉に“シュガーさん”という愛称通りの優しい人柄がにじみました。そして年老いた娼婦猫グリザベラが歌う名曲「メモリー」をソニンさんが役を生きるかのごとくドラマティックに歌い上げました。 ディズニー映画や、その舞台化音楽を数多く手掛けるアラン・メンケン楽曲からは『ノートルダムの鐘』より「Someday」、『アラジン』より「A Whole New World」、『美女と野獣』より「愛せぬならば」の3曲。「Someday」に込められた、平等な世界への願いを咲妃さんがひと言ひと言丁寧に届け、「A Whole New World」では中川さんと新妻さんが歌声で織りなす魔法の絨毯が観客の心も乗せて“新しい世界”を見せてくれました。「愛せぬならば」は『美女と野獣』が舞台化される際に書き下ろされた名曲。ビーストの苦悩を歌い上げる佐藤さんの声とオーケストラの奏でる音楽が一体となった迫力、特に最後のロングトーンは圧巻でした。 そんな会場の空気を代弁、「シュガー最高!」と登場した中川さんが歌ったのは「Can’t Take My Eyes Off You」。「既存の楽曲で構成された“ジュークボックス・ミュージカル”、その代表的なものはABBAの『マンマ・ミーア!』やキャロル・キングの『ビューティフル』、そして僕がフランキー・ヴァリ役を務めるコーラスグループ、フォー・シーズンズの歩みを彼らの楽曲を用いて描いた『ジャージー・ボーイズ』などがあります」という解説に加え、劇中で歌う「シェリー」を独特の発声トワングを用いて披露するサービスも!この曲を手掛けたのは、ヴァリと共にグループを成功に導いたボブ・ゴーディオです。 続いて、ホイットニー・ヒューストンへの楽曲提供などでも有名なフランク・ワイルドホーンの『ジキル&ハイド』より、ジキル博士を愛する二人の女性が歌う「その目に」を新妻さん、咲妃さんで。『オズの魔法使い』の前日譚を描いた『ウィキッド』でエルファバが自らを解放し高く舞い上がる場面で歌う、『ピピン』『ゴッドスペル』を手掛けたスティーブン・シュワルツの名曲「Defying Gravity」をソニンさんが高らかに歌い上げ、劇中同様、見事にイチラス(1幕ラスト)を飾りました。 第2部は、『レ・ミゼラブル』を生み出したクロード=ミッシェル・シェーンベルク作品でスタート。ベトナム戦争を背景に、アメリカ兵クリスとベトナム人女性キムの悲劇を描いた『ミス・サイゴン』より「世界が終わる夜のように」と「命をあげよう」の2曲。「2008年、私がミュージカルを始めたばかりのころに出会った作品、役。ミュージカルの世界でやっていこうと決意した、私にとって大切な思い入れのある作品です」と作品への熱い思いを語ったソニンさんと中川さんが幸せの絶頂にいる二人を情熱的に、アオザイを纏った新妻さんが母となったキムの覚悟を壮絶に歌いました。 次はウィーン・ミュージカルの巨匠、オーストリア皇后エリザベートの生涯を黄泉の帝王トート(死)の存在を絡めて耽美に描いた『エリザベート』、モーツァルトの生涯を濃密で劇的なドラマに高めた『モーツァルト!』など、脚本家のミヒャエル・クンツェとのコンビでヒット作を生み出す作曲家シルベスター・リーヴァイ作品の登場です。『エリザベート』の「夜のボート」を咲妃さんとデュエットした佐藤さんは「ウィーン・ミュージカルは人間の内面を深く描き、エンディングを迎えてからもいろいろと考えさせられる作品が多い。リーヴァイ氏の楽曲は美しくキャッチー」とその印象を語り、咲妃さんは「フランツを演じている佐藤さんと歌うことができて光栄です。自然に作品の世界に導いてくださいました」と感激しきり。対して「見つめ合って歌う咲妃さんの頬をつたう一筋の涙、その思いに僕の心も引き込まれました」と佐藤さん。それを聴く観客も瞬時に『エリザベート』の世界に引き込まれました。それもミュージカル音楽の魅力です。 ここからは出演者がセレクトした5曲。まずは、亡き先妻の影を恐れるヒロイン“私”が主人公のサスペンス・スリラー『レベッカ』より、リーヴァイらしいメロディアスな楽曲「永遠の瞬間」を咲妃さんが切々と、『モーツァルト!』より「ダンスはやめられない」をソニンさんが退廃的な空気をまといながら歌唱。『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャン役を務める佐藤さんが歌う「Stars」は新鮮で、ロイド=ウェバーの初期作品『ジーザス・クライスト・スーパースター』の「スーパースター」では中川さんがコーラスガールのパートも歌うという離れ業を披露!そしてコンサートのトリは、彫刻家カミーユ・クローデルと師ロダンの激しい生き様を描いた『GOLD カミーユとロダン』のタイトル曲「GOLD」。歌い上げが魅力のワイルドホーン節を存分に味わえる楽曲を新妻さんが圧巻の歌唱で届けました。 そして出演者全員でもう1曲、ミュージカルの金字塔『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌」でコンサートは幕を閉じました。 一年の時を経て実現した待望のコンサート。ミュージカル界の巨匠たちが生み出した珠玉の音楽を同じ空間で共有する、「生」の素晴らしさがもたらす感動と熱狂。満員の客席から放たれる万雷の拍手が、それを物語っていました。 次回の「ららら♪クラシックコンサート」は第13回。「美しい日本の歌 歌い継ぐ音楽のこゝろ」と題し、6人の人気オペラ歌手が童謡・唱歌・愛唱歌・日本歌曲を歌い上げます。番組初代MCの加羽沢美濃さんもピアニスとして登場。司会の高橋克典さんとの楽しいトークと共に、美しい日本の歌をお楽しみください。 <文・功刀千曉>

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